不眠症とは?原因について
不眠症とは、睡眠の質や量が十分でなく、日常生活に影響を及ぼす状態です。
主な症状としては、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、睡眠の質が低いといったものが挙げられます。
睡眠障害や不眠症の種類についてはこちらの記事がおすすめです。
生活習慣による不眠症の原因
生活習慣が不眠症に影響を与えることがあります。
例えば、不規則な生活リズム、過度なカフェイン摂取、夜間にスマートフォンやパソコンの使用などが、不眠症を引き起こす要因となることがあります。これらの生活習慣を改善することで、不眠症の症状が軽減される可能性があります。
過労や過度の緊張、不規則な生活リズムなど、日常生活の習慣が睡眠の質に影響を与えることがあります。適度な運動やストレス管理、規則正しい生活リズムを心掛けることが大切です。
精神による不眠症の原因
不眠症は、精神的な要因によって引き起こされることが多くあります。以下に、主な精神的な原因をいくつかご紹介します。
ストレス
職場でのストレス、人間関係の悩み、家庭内の問題など、さまざまなストレスが不眠症の原因になります。ストレスは緊張感を高め、リラックスして眠りにつくことを阻害することがあります。
不安やプレッシャー
不安や心配事があると、寝る前にそのことについて振り返ってしまい、心が落ち着かず、眠れなくなることがありませんか?
また、過度の不安は悪夢や夜間の覚醒を引き起こすこともあります。
抑うつ症状
うつ病や心理的なストレスが不眠症を引き起こすことがあります。抑うつ症状がある場合、入眠困難や早朝覚醒が起こりやすくなります。
睡眠習慣
上記にある生活習慣と近いですが、悪い睡眠習慣や寝る前の過剰な寝室での活動は、睡眠の質を低下させることがあります。また、ベッドを不安やストレスと結びつける認知が、不眠症を悪化させることがあります。
身体による不眠症の原因
一方で、身体的な要因も不眠症の原因となることがあります。以下に、主な身体的な原因をいくつかご紹介します。
睡眠障害
睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群など、特定の睡眠障害が不眠症の原因となることがあります。
身体疾患
慢性的な痛み、呼吸困難、頻尿など、身体の病気や症状が睡眠に悪影響を与えることがあります。
薬物やカフェイン
一部の医薬品やカフェインは、興奮作用があり、睡眠に影響を与えることがあります。特に、就寝前のカフェイン摂取は避けることが重要です。
ホルモンのバランス
甲状腺機能亢進症や更年期障害など、ホルモンのバランスが乱れることも、不眠症の原因となることがあります。ホルモンの変化は、睡眠の質やリズムに影響を与えることがあります。
老化
加齢に伴って、睡眠の質が低下することがあります。特に、深い睡眠の時間が減少することで、睡眠の効果が低下し、不眠症に繋がることがあります。
【Week1】不眠症改善のために睡眠日誌をつける
不眠症改善に役立つ睡眠日誌のつけ方
睡眠に困りごとがある人は、眠れた日よりも眠れなかった日を思い出すことが多いのではないでしょうか?
記録をつけることで睡眠状況の実際について振り返ることができます。
では、具体的な睡眠日誌のつけ方を学んでいきましょう。
睡眠日誌で記録する内容は以下の9項目になります。
(1)私は〇時~〇時まで昼寝をしました
(2)私は睡眠を促すために〇薬を〇錠(mg),お酒を〇杯飲みました
(3)私は〇時にベッドに入りました
(4)私は〇時に電気を消して寝ようとしました
(5)電気を消したあと,約〇分で眠りました
(6)私は夜,寝た後に〇回目が覚めてしまいました
(7)目が覚めてしまった後,〇分間眠れませんでした
(8)私は〇時に目が覚めました
(9)私は〇時にベッドから出ました
睡眠日誌をつけることで一歩引いた目線から自分の睡眠の状況を振り返ることができます。
【Week2】不眠症改善のための睡眠効率の計算と良眠のコツを知ろう!
睡眠日誌を1週間つけることができたら、次にWeek2へのステップに移ります。
もし睡眠日誌をつけることがうまくできなかったら、睡眠日誌を置く場所を工夫したり、リマインダーを設定することがおすすめです。
またアメリカ心理学会は、不眠症に対して認知行動療法を推奨しています。
次のステップでは、睡眠の分析の仕方と良眠のコツをご紹介します。
1週間の睡眠効率を算出する方法や科学的に支持されている良眠のコツを知ることができます。
認知行動療法を受けてみたい方はこちらから!
不眠症改善に役立つ睡眠日誌の分析の仕方
睡眠日誌のデータを使って、1週間の睡眠効率を計算し、効率的にどれだけ眠れているかを把握しましょう。
睡眠効率は0~100%で表し、85%以上なら良い睡眠と評価できます。
以下の4ステップで睡眠効率を算出します。
- 睡眠日誌でベッドにいた時間を計算
- 睡眠日誌で実際の睡眠時間を計算
- 1週間分の睡眠時間とベッドにいた時間を求める
- 1週間の平均睡眠時間÷1週間のベッドにいた時間×100を計算
結果を確認し、1週間単位で睡眠の状態を評価しましょう。(詳しい計算方法については動画をご覧ください)
不眠症を改善して質の良い睡眠になるためのポイント
ネットにある不眠症を改善して快適な睡眠のためのポイントは、個人の経験から科学的根拠に基づくものまで、さまざまあります。
時折、一般的な良い睡眠の方法が科学的に証明された方法とは逆のものであることがあるため、注意が必要です。
良い睡眠が得られるなら、自分に適した方法を見つけることも大切です。以下は、不眠症の改善の一歩となるポイントです。
ポイント1:寝る前のカフェインやアルコールなどを避ける
カフェインは覚醒効果があるため、寝る前に摂取すると睡眠の妨げになります。また、カフェインは摂取後約4時間効果が続くとされているため、寝る4時間前にはカフェインを摂らないようにしましょう。
就寝前にアルコールを摂取すると、一時的に寝つきが良くなる効果がありますが、最終的には睡眠の質を低下させることにつながります。
また、アルコールには利尿作用があるため、途中で目が覚めることも起こります。夜の飲酒は、就寝前を避けるように心掛けましょう。
心身をリラックスさせることは、良質な睡眠につながります。
リラックス方法は個人差がありますが、おすすめの方法は筋弛緩法です。このリラクゼーション法は、科学的に効果が確認されており、練習を重ねることで上達するとされています。
ポイント2:就寝時間にこだわりすぎない
寝付きが悪い場合や、途中で目が覚めてしまうことが続くと、睡眠時間を調整するために早めにベッドに入りたくなることがあります。
しかし、眠くないのにベッドに入ると、体がベッド=起きている場所と記憶してしまう問題が生じます。眠くなってからベッドに入るようにしましょう。
ポイント3:起床時間は一定にすること
就寝時刻はバラバラでOK。起床時刻は一定にしましょう。
ポイント2で述べたように、眠くないのにベッドに入ると、体がベッド=起きている場所と認識し、ベッドに入ると目が覚めてしまう問題が生じます。眠くなってからベッドに入る習慣を身につけると、寝る時間が変動することがあります。
しかし、それは問題ありません。寝る時間が変動しても構わないですが、起きる時間は一定にしましょう。
起きる時間を遅くすると、睡眠のリズムが後退してしまいます。また、起床後30分ほど日光を浴びて体内時計を整えることもおすすめです。
ポイント4:昼寝は15時までに20分~30分
睡眠圧(疲労)が高まることで眠気が生じます。日中、学校や仕事で頭や体を使うと睡眠圧が徐々に高まり、夜にピークを迎え、眠気が生じるというメカニズムがあります。
ただし、15時以降に昼寝をしたり、昼寝の時間を30分以上にしてしまうと、睡眠圧が解消され、再び睡眠圧が高まるまで活動しなければ眠気が生じなくなります。
その結果、夜になっても眠くならないという問題が起こります。昼寝はパフォーマンス向上に役立つことが分かっているため、昼寝を習慣にすることは良いライフハックですが、夜の睡眠に影響を与えない範囲で昼寝を取り入れましょう。
ポイント6:眠りが浅いときは積極的に遅寝・早起き
浅い眠りの日は、遅寝・早起きを積極的に行いましょう。
深い眠りが得られなかった日は、日中に眠気や倦怠感があるため、横になったり早くベッドに入りたくなることがあるでしょう。
しかし、いつもの就寝時刻より早く寝てしまうと、途中で目が覚めたり、朝早く目が覚めることが起こります。通常の就寝時刻に寝るようにし、朝は早く起きることで、睡眠の密度を高めるイメージで過ごしましょう。
【Week3】不眠症改善のために睡眠スケジュール法を学ぼう!
Week1で睡眠日誌のつけ方・Week2で睡眠効率の算出方法と良眠のコツについて知っていただけたかと思います。
それでも、「具体的に不眠症を改善する方法は何か?」と疑問に思う方はとても多いと思います。
そこでWeek3では、「不眠症改善方法の1つである睡眠スケジュール法」について詳しく解説していきます。
睡眠スケジュール法とは、効果的な不眠症改善方法の一つであり、今回の説明を通じてその概要を把握し、今晩から早速実践するための準備が整うことでしょう。
実は、ベッドで横になっている時間と実際に眠っている時間の間に大きな乖離がある場合、睡眠効率は低下し、結果として睡眠に対する満足度も低くなってしまうと言われています。
寝つきが悪かったり、途中で目が覚めるような睡眠の悩みがあると、つい早めにベッドに入ることが多くなりがちだと思います。しかし、実はこの行動が(睡眠時無呼吸症候群などの身体疾患を除いた場合)、睡眠の悩みをさらに持続させる原因となることがあります。
ベッドで過ごす時間と実際に眠れた時間の差を減らし、睡眠効率を向上させる方法として、睡眠スケジュール法が不眠症に対する認知行動療法のスキルの1つになっています。
睡眠スケジュール法の理論は理解できたものの、「実際に自分にはどうなの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで、記録した睡眠日誌を基に、自分自身に睡眠スケジュール法を適用してみて、どのような効果があるのか具体的に確認してみましょう。この経験を通じて、より効果的な睡眠改善法を見つけ出すことができることでしょう。
睡眠スケジュール法の6ステップ
- 起床時刻の設定
- 平均睡眠時間の算出
- 平均睡眠時間を分から時間になおす(÷60をする)
- 2の時間に30分を足して新しい臥床時間を算出
- 起床時刻から新しい就寝時間を引いて、ベッドに入る時刻を決める
- 睡眠が安定してきたら、1週間で15分ずつベッドに入る時刻を早める
ステップ1:起床時刻の設定
まずは、毎日同じ起床時刻を設定しましょう。これにより、体内時計が整い、自然と目覚める時間が安定します。
ステップ2:平均睡眠時間の算出
次に過去1週間の睡眠日誌を元に、1日あたりの平均睡眠時間を計算します。
ステップ3:平均睡眠時間を分から時間に換算する(÷60をします)
算出した平均睡眠時間を、分単位から時間単位に換算します。こちらのサイトに数値を入力すると自動で分を時間に直してくれます。
ステップ4:新しい就寝時間を算出
ステップ2で得た平均睡眠時間に、30分を足した時間を新しい就寝時間として設定します。この追加の30分は、寝る前のリラックスタイムとして役立ちます。
ステップ5:ベッドに入る時刻を決める
設定した起床時刻から、新しい就寝時間を引いて、ベッドに入るべき時刻を決定します。
普段22時に就寝していた人が0時に就寝する習慣に変えるのは勇気がいるかもしれません。
最初の2~3日間は睡眠不足を感じることがありますが、4日目以降は体が慣れるため、最初の数日間は工夫して問題を乗り切りましょう。
注意点として、ステップ5で算出した就寝時刻は絶対ではなく、眠気が来たときにベッドに入ることが大切です。
眠気がない場合は、興奮しない活動を行いながら待ちましょう。
睡眠スケジュール法を実践している間は、たとえ早く眠気が来ても、0時以降にベッドに入るように心がけましょう。
ステップ6:睡眠が安定してきたら、ベッドに入る時刻を徐々に早める
睡眠が安定してきたら、1週間ごとにベッドに入る時刻を15分ずつ早めていきましょう。これにより、さらに効率的な睡眠が得られるようになります。
これらのステップに従って、睡眠スケジュール法を実践することで、睡眠の質が向上させていきましょう。
【Week4】不眠症改善のための4週間の振り返りをしよう!
Week4が最後となりますので、今までの振り返り・実践を繰り返していきましょう。
今回で不眠症に対する認知行動療法(4週間でぐっすりプロジェクト)が完了です。
睡眠の悩みが解決するまで、睡眠日誌を続けて記録し、睡眠スケジュール法と良眠のコツを試してみましょう。定期的に日誌を振り返ることで、改善の進捗がわかります。
ただし、不眠症に対する認知行動療法は身体疾患による睡眠の問題には適用できません。睡眠時無呼吸症候群や過眠症が疑われる場合は、専門医に相談してください。
不眠症でお悩みの方は、心の専門家(カウンセラー)に相談することもオススメです。
Kimochiでは、参考記事を作成しているこころの相談室UP(ゆーぴー)の松元大地先生を始め、認知行動療法をカウンセリングを通して行うカウンセラーさんが登録しています。
当記事の参考・引用元サイト
睡眠に関する記事はこちら!