HSPとは?特徴や簡単診断、病気、症状をわかりやすく紹介します!

HSPとはどんな病気?特徴や簡単診断、症状をわかりやすく紹介します!

学校時代、クラスに感受性が強くて敏感なクラスメイトが一人や二人いなかったでしょうか。

内向的で、クラスでは目立たなかったけれど、文章を書かせると飛び切り上手な人。
そのような人達を指す言葉、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉を聞いたことがありますか?

最近では、テレビやインターネット、SNS等で話題となり、耳にする機会が増えた人も多いかと思います。

HSPとは「生まれつき感受性が強くて人一倍敏感な気質がある人」のことで、アメリカでの調査では約5人に1人が当てはまると言われています

この記事ではHSPについて詳しく紹介していきます。

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HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?特徴について

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?

HSPとはどのようなものか、どのような気質を持っているのか、非HSP(普通の人)と脳内に違うところがあるのか、HSPの歴史について、HSPの日本人の割合についてわかりやすく説明します。

HSPってどんな病気ですか?

HSPとは生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質を持った人」という意味で「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と呼び、頭文字をとって「HSP」と呼ばれています

環境や性格などの後天的なものではなく、先天的な気質、生まれもった気質であることがわかっています。

つまり、HSPは病気ではなく、気質だということで、変えることができないのです

HSPはどんな性格?

”繊細さん”・”敏感さん”と呼ばれているHSPの気質として、人の些細な言動に動揺したり、感情の動きに振り回されたり、音・光・ニオイに必要以上に反応したり疲れやすくなってしまうことがあります。

対人関係で知人との些細な会話に反応して精神をすり減らすとか、大きな音、特別な臭いなどに反応してしまったりという、普通の人とは少し異なる行動をします。HSPの人はDOES(ダズ)という4つの特徴が揃っていると言われています

DOES(ダズ)とは
  • Depth of processing:考え方が深い 
  • Overstimulated:刺激に敏感 
  • Emotional reactivity and high Empathy:共感しやすい 
  • Sensitivity to Subtleties:感覚鋭敏 

HSPの脳のしくみは非HPSと違うのか

HSPの人は脳の扁桃体という、自分にとって危険かどうかを判断する働きが生まれつき活発で、不安や恐怖を感じる神経回路も敏感に働きます。

また神経が高ぶった時に分泌されるノルアドレナリンやストレスホルモンであるコルチゾールの量が多いことが研究で明らかとなっています。

加えて、相手が悲しむと自分も悲しくなる働きであるミラーニューロンの働きも活発であることがわかっています。

HSPの人は、情動反応に過敏で共感性がありますが、ストレスを感じやすいところが特徴だと言われています

HSPの歴史

HSPはアメリカの精神分析医で学者のエレイン・アーロンにより1996年に提唱されました。

アーロンは1991年から先天的に高い敏感性を持つ気質の研究に従事し、研究において、とても敏感なタイプ(HSP)とタフなタイプの2つに分類されることを発見しました。

日本にはどれくらいのHSP気質を持った人がいるのか

アーロン博士の研究では、アメリカ人の約15%から20%はHSPと推定されています。 日本における研究は残念ながらありません。日本人は恥の文化の気質を持っていますからアメリカ人よりもHSP気質の人が多いかもしれません。

HSPってどんな病気ですか?うつ病との違い

HSPってどんな病気ですか?うつ病との違い

HSPとうつ病が同じものだと勘違いされることも多いようです。

HSP気質の人の中には感情をすり減らしてストレスを抱え、うつ病のようになってしまう人もいます。しかし、うつ病とHSPは全く違うものです。ここではHSPとうつ病の違いについてまとめてみたいと思います。

うつ病は気分障害という精神疾患ですが、症状は抑うつ気分や意欲減退、不眠、食欲減退などの抑うつ症状が生じます。

自殺念慮を抱く者もいますが、HSPの人の中にも抑うつ気分や不眠といった状態になる人がいますが、HSPは病気ではなく、気質、つまり個性です

中にはうつ病を発症している人がいるかもしれませんが、気質自体は薬で治療できるものではなく、気質を変えるのは困難です。

クリニックの中にはHSPうつという診察名で治療を行っているところもありますが、病名にはそのようなものはありませんし、HSPの気質自体を変えることはできません。

HSPとHSSの違い

HSS(High Sensation Seeking:ハイ・センセーション・シーキング)という言葉もよく使われています。

社交的であるけれど傷つきやすいという特徴を持つHSSですが、HSPとはどう違うのか、HSPの仲間なのか全く違うのかについてわかりやすく解説します。

HSS型HSPは刺激希求性が強いHSPには、以下のような特徴があります。

  • 好奇心旺盛で活動的ですが、飽きてしまうのが早い
  • チャレンジするが、ミスも多い
  • 外出するのはいいが、終わると疲れがどっと出てしまう

このような外向型のHSPもHSPの気質をしっかり持っていて、人と接触したあとに疲れが出ます。

HSSタイプの人は自分ではHSPだという意識が薄いようです。このHSS型HSPは学術研究は全く行われておらず、巷で血液型の性格のように言われているだけと言われています。

一方、内向型のHSPも指摘されています。人間には性格があって、人それぞれです。それと同じくHSPにもその人の個性によって内向型、外向型があるのだと思います。

HSPとHSCの違いと関わり方

HSC(Highly Sensitive Child:ハイリ―センシティブチャイルド)ですが、HSPと比べて何か違いがあるのでしょうか。

HSCの子どもさんを持たれている子育て中の親御さんのために解説します。

HSCは人一倍敏感な子どものことを表す言葉です

HSCの割合は5人に1人とされており、HSCはHSP同様、生まれついた気質です。

幼い子どもの場合、その感受性の繊細さは大人以上で、親の対応の仕方如何によって成長に大きな影響を与えます。

ほかの子どもに比べて傷つきやすく、すぐ落ち込んでしまうという子どもさんを持たれて、悩まれている方も多いと思いますが、単純に「気にしない。気にしない。」で済ませず、子どもさんの話に耳を傾けて、いつでも味方であると温かい声掛けをしてあげてください

お子さんの持つ感性は素晴らしいですから、それを伸ばしてあげるように働きかけてください。

よく質問されるのですが、親がHSPであれば、子どももHSCになるかということですが、研究では、HSPを示す感覚処理感受性は47%遺伝ですが、残り50%は生育環境によって決まるとされており、必ず遺伝するとは言えません。

参考・引用文献:Molecular Psychiatry https://www.nature.com/articles/s41380-020-0783-8

HSPはどんな人がなりやすい?HSPの5つの特徴

HSP どんな人がなりやすい?HSPの5つの特徴

ここでは、HSPらしさと言われる代表的な特徴をご紹介します。

HSPにはどんな特徴があるのかを確認していきましょう。

①敏感な神経がある

HSPの人は、感受性が敏感ですから一度に多くの情報を吸収できます。そのため、情報過多になりがちです。

特に周囲のネガティブな感情を察知して、傷ついたり、落ち込んだりすることが多く、それが高じてうつになってしまうこともあります。この過敏な傾向は後で述べますが、仕 事に活かせる特性なのです。

②音や臭いなどの細かな違いを察知できる

少し強めの匂いや、床上の音、強い光などに敏感になるのもHSPの人の特徴です。

そのため音や臭い、色彩などの微細な違いを見分けられ、察知することができます

このため、普通の人が感じない臭いなどをHSPの人は苦痛に感じることがあります。

③想像力が豊か

HSPの人は想像力が豊かで内的生活が充実しています

芸術作品の鑑賞に喜びを感じたり、文学作品の創作に熱中する傾向があります。また、芸術家やクリエイターにHSPの人が多いと言われています。

④共感力が高く、気配り上手

HSPの人は共感力が高く、相手への思いやりがあります

相手の苦しみを自分のことのように感じ取ることができる一方で、それが精神的にHSPの人を苦しめることにつながります。

相手の感情をわがことのように感じ、共感する能力は優れたものでしょう。その特徴を活かしている人も多いです。

⑤危機管理能力が高い

HSPの人はよく観察し、慎重に行動するため、危機場面では落ち着いて行動できます。しかし、考えすぎてしまい行動が遅くなる面もあります。

また、HSPの気質の難点は常に不安を抱えてしまうところです。それが病気になってしまうこともあります。

HSPあるある・よくある困りごとは?

HSPの人達のあるある・よくある困りごとについて解説します。

①音や臭いなど五感の悩み

HSPさんには花火の大きな音や怒鳴り声、都会の喧騒などが苦手という人が多いです。

刺激を過剰に受け取ってしまうHSPさんには辛い状況です。

「こつ、こつ、こつ」とマンションの廊下を人が歩く音がやけに気になるという人も多いようです。また、隣の男性のたばこの臭いが気になると言う一般の人も多いでしょう。HSPさんは特に苦手な人が多いようです。

②相手の怒りや悲しみに過剰に反応してしまう

HSPさんは他人の気分に箇条に反応し、左右されてしまい、疲れてしまうことが多いです。

例えば、初対面の人に会ったりすると、会っている間は全力で話を聴こうとし、別れた後はぐったりして疲れてしまうことがあります。相手の感情をストレートに受け取ってしまい、疲れてしまうのです。

③空想にふけることがある

豊かな想像力を持っているため、仕事や学業中に空想にふけることがあります

そのため、「〇〇君、何を考えているんだ」と先生から叱られてしまうということも多いようです。
また、一度自分の世界に入ると夢中になるため、眠れなくなることもあります。それが不眠症の原因になったりすることもあるようです。

④神経が擦り切れるようになる

時々、神経が擦り切れるようになり、1人になりたくなるときもあります

心の境界線が薄いため、周囲からの影響を受けやすく、すぐ精神的に疲れてしまうのが原因です。普通の人であれば、気にしないようなこともHSPさんにとっては辛く感じてしまうのです。

⑤自己評価が低く、完璧主義

すぐ自分を責めてしまうことや完璧主義でそれが無理だと失望して自分はダメな人間だと思ってしまいます。

このため、自己肯定感の低い人にはHSPの方が多いようです。すべて自分で責任を取ろうとする傾向が強いようです。

HSPの自己診断テスト!簡単にセルフチェック

以下のテストはHSPの自己診断テストです。HSPの提唱者アーロン博士作成のテストから引用しています。このテストはよく考えすぎないで即答したほうがよいです。

それではあなたのHSP度を測ります。10個以上が「はい」であれば、HSPである可能性が高いと言われています。

「はい」か「いいえ」で答えてください。

  1. 他の人にどう思われているか、とても気になる
  2. 人見知りで、初めて知り合った人となかなか慣れない
  3. 周囲の微妙な変化にすぐ気づき、空気を敏感に読む
  4. 大人数は苦手だが、ひとりでいるのも苦手
  5. 傷つきやすく、なかなか立ち直れない
  6. においや味などの好みが強く、苦手な食べ物も多い
  7. 忘れ物や間違いがないか、入念にチェックする方だ
  8. 他人の気持ちに共感することが多い
  9. 大きな音がとても苦手
  10. 強い光や音に敏感
  11. 時計の針の音が気になって眠れないことがある
  12. 美術や音楽が好きで、感受性が豊かな方だ
  13. 想像力が豊かで、空想にふけることが多いと思う
  14. 痛みに敏感
  15. 暴力的なシーンのある映画やテレビが苦手

あくまで、セルフチェックのため参考程度に捉え、詳しく知りたい方は心の専門家に聞いてみるのが良いでしょう。

HSPはどうしたらいいのか?HSPの5つの対処法

HSP どうしたらいいのか?HSPの5つの対処法

ここでは、HSPの人達がどのようなことを日常的に意識して対応すればよいかについて解説します。

HSPの人達は自分の気質に苦しめられることもあり、どのようにしたら自分の問題を解決できるか悩まれている方も多いようです。そのような方のために対処法を紹介していきます。

①自分がHSPであることを伝える

周囲の人に自分がHSPであることを告げて、自分は何ができて何ができないのか、HSPの特性について理解してもらうことで、周囲の人に理解してもらい、毎日の生活が楽になります。HSPと広言しなくても「私、こういうタイプだから」と軽く告げることでも効果があります。

②自分の限界を知る

HSPの人は我慢しすぎてしまうことがあるので、自分の耐えられないことについて知っておく必要があります

例えば、人と会う時に、別れる時間を決めておいて相手と約束をしておくとか、会話中に休憩を取ることも必要です。言葉の洪水に逃げられなくなるとつらくなるだけです。適度に休憩を取りましょう。

③深い会話と浅い会話を使い分けする

相手との深い会話や浅い会話のときを使い分けして、深い会話になりそうなときは話を途中で切り上げるなどして対応しましょう。それが自分を守ることになります。

例えば、「疲れちゃったわ。ごめんね。」と言って席を外すなどです。

④HSPの理解者をパートナーに選ぶ

HSPを理解してくれるパートナーを選ぶことで結婚生活もあなたにとって素晴らしいものになるでしょう。逆に無理解者だと精神的に疲弊して、離婚ということになりかねません。

また、パートナーだけではなく、あなたの特徴を理解し、相談しやすい友人を作ることで悩んだ時に相談することも可能となります。

パートナーや友人に相談しづらい、より深く自分を見直したい場合は心の専門家に相談することもオススメします。

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⑤子育ては無理をしない

HSPの気質から子育てに熱中しがちですが、休憩をいれるなど自分をセーブしましょう。HSPの子どもがHSCになるとは限りませんが、自分の子どもの行動を観察し、自分に似ているようであれば子どもにあった育児をしましょう。

HSPの人に向いてる仕事を紹介!

HSPの気質に合った職業について3つピックアップして解説します。HSPの方は感受性や共感力が優れているとか、誠実で真面目にこつこつと仕事ができるという強みがあります。

あなたがHSPであるとして、どのような仕事に就きたいですか。あなたの現在就いている仕事はあなたに合っていますか。解説を見ながらお考えください。

カウンセラーやセラピスト

 HSPの適性を活かせる仕事としては、いろいろありますが、まず人の心や身体のケアをする仕事があります。代表的なものにカウンセラーやセラピストがあります。来談者の心の悩みを聴いてアドバイスしていくという仕事ですが、カウンセラーやセラピストにHSPの方が多いです。アローン博士もセラピストです。感情に敏感なことや共感力が高いことが役立つのでしょう。反面、精神的に疲れてしまうこともあるので、気をつけてください。

システムエンジニア

正確さが必要である仕事があります。その中でもシステムエンジニアが向いているでしょう。

仕事が丁寧で研究熱心なことが、プログラムを組む時に役立ちます。誠実な態度もシステムエンジニアには必要です。

イラストレーター

クリエイティブな仕事がHSPには向いています。その中でもイラストレーターがお勧めです。

HSPは感性豊かで芸術的なことを好みます。また、細かい作業もいとわない誠実さがあります。

そのほかにも例えば動物の世話をするような仕事、ペットショップ店員などがあります。

HSPの特性を武器に仕事に就くことを考えることが、長く仕事を続けられ、定着できる道だと思われます。

【HSPとは?】まとめ

【HSPとは?】まとめ

HSPについて説明してきましたが、HSPという言葉自体、テレビやネットで最近脚光を浴びている言葉です。

HSPの特質から病気だと勘違いしがちだし、治療を謳ったクリニックもあるようですが、繊細で過敏な人間の気質を述べており、治療はできないということは説明しました

HSPは良い面も多いのですが、実際には社会において、気質であったために、生活で不利益を被るなど、HSPに対する無理解から差別的な扱いを受けてしまうこともあるようです。

今回、理解を深めていただこうと、あらゆる角度からHSPについて検討しました。

読者のHSPの方、非HSPの方にとってHSPを深く理解いただけたのではないかと思います。

HSPの方はストレスをためがちですので、日々の健康管理に気をつけてHSPの特性を良い方向に活かして充実した毎日を送ってください。

彼、彼女、職場の同僚にHSPの方がいるという人は、HSPの特質を理解して接するようにしてあげてください
それが交際を長く続けるこつとなります。お互い理解を深めながら付き合っていってください。

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