メンタルヘルスとは?意味や職場、対策方法、日本の状況について紹介!

メンタルヘルス とは

「メンタルヘルスという言葉を聞く機会が増えたけど、どういう意味でどんな定義なの?」とふと疑問に思った方も多いかと思います。

そんな方に向け、今回はWHOや厚生労働省が出している情報をもとにメンタルヘルスについて簡単に分かりやすく紹介します。

この記事を読めば、メンタルヘルスとはどういうものなのか理解できます!

メンタルヘルスとは?どんな意味なのかを解説!

メンタルヘルス とは 意味

メンタルヘルス(mental health)とは、直訳で「こころの健康」を意味します

WHO(世界保健機関)の定義では、「メンタルヘルスとは、人が自身の能力を発揮し、日常生活におけるストレスに対処でき、生産的に働くことができ、かつ地域に貢献できるような満たされた状態(a state of well-being)である」とされています。

また、WHO憲章の健康の定義は、「健康とは、単に病気ではないあるいは弱っていないというだけではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあること」と述べています。

つまり、メンタルヘルスとは健康に欠かせない重要な要素の一つなのです。

昨今、メンタルヘルスが尊重、促進、保護されることが世界的に重要視されています。

皆さんも「メンタルヘルス」「精神障害」という言葉を耳にする機会がよくあると思います。
日本でも世界と同様、メンタルヘルス対策は国の重要項目として、厚生労働省や地方自治体、各企業等を中心に取り組まれています

ここでは、日本のメンタルヘルスの現状と、その不調により引き起こされる代表的な疾患やその特徴、メンタルヘルスを良好に保つためのポイントについてお伝えします

オンラインカウンセリングKimochi

参考:
メンタルヘルスアクションプラン 2013 – 2030 | 公益社団法人日本WHO協会
メンタルヘルス:対策強化に向けて | 公益社団法人日本WHO協会

現代社会のメンタルヘルスの状況

メンタルヘルス とは 厚生労働省

出典:厚生労働省 | 平成29年の患者調査の結果

日本国内で約420万人が心の病気で通院や入院をしているとの結果があります。これは、日本人のおよそ30人に1人の割合です。

生涯を通じて何らかの精神疾患にかかる割合は、5人に1人ともいわれています。

メンタルヘルスに問題を抱える患者の推計人数は、大きく見ると横ばいです。しかし、「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」、「気分[感情]障害(躁うつ病を含む)」の項目は、毎年増加傾向にあることが分かります

メンタルヘルス とは 仕事

出典:厚生労働省 | 令和2年度「過労死等の労災補償状況」を公表します

精神障害における労災の請求件数、認定件数ともに増加していることが分かります。

メンタルヘルスの不調が引き起こす代表的な精神疾患

メンタルヘルス 精神疾患

メンタルヘルスの不調が続くことで、治療やケアが必要な精神疾患に移行してしまう可能性があります。

それらは日常生活や職業生活の営みに影響を及ぼしますが、本人が生まれ持った特徴に起因する事もあります。

ここでは、精神科領域でよく見られる代表的な疾患とその特徴について説明します。

うつ病

メンタルヘルス とは うつ病

うつ病の特徴

うつ病とは、気分障害の1つで、主に意欲や感情、思考に障害を来します。気分が沈み、不安や悲しみの感情が大きくなったり、眠れない、早朝に目が覚めてしまうなどの症状があります。

うつ病になりやすい性格や状況として、強い責任感や義務感のある人、几帳面な人、転勤や昇進などの環境の変化があります。

日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。また、ホルモンの関係で女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。

うつ病の原因

遺伝や性格、身体的または精神的ストレス等環境の変化のほか、セロトニンの減少によるといわれています。

うつ病の主な治療方法

心身の休養をしっかりとる事が最も大切です。また、主に抗うつ薬を使った薬物療法とカウンセリングなどの心理療法で治療を行います。

参考:うつ病|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

統合失調症

メンタルヘルス とは 統合失調症統合失調症の特徴

統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなり、人格(思考や知覚、感情、自我)に何らかの影響を与える病気です。最も多い症状は、幻覚と妄想です。多くの患者さんの意識、記憶、知能の障害はありません。

長い経過をたどりやすいですが、新しい薬や治療法の開発が進んだことにより、多くの患者さんが長期的な回復を期待できるようになっています。

思春期から30歳で発症し、日本ではおよそ100人に1人くらいの発症率といわれています

統合失調症の原因

はっきりとは分かっていませんが、ドパミンの分泌異常が関係していると考えられています。

統合失調症の主な治療方法

幻覚や妄想などの症状を抑える抗精神病薬を中心にした薬物療法、作業療法や社会生活機能訓練等による社会復帰活動を行います。

参考:統合失調症|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

適応障害

メンタルヘルス とは 適応障害

適応障害の特徴

適応障害とは、特定のストレスに対して心身が対応できなくなり、感情や行動を阻害する症状です。

ストレスにさらされてからおよそ3か月以内に発症し、ストレスから離れると比較的早期(およそ6か月)に軽快します。

気分が落ち込んだり、いわゆる「うつ状態」になることが多いですが、ストレスから離れた状況では楽しむことができる時もあります。

適応障害の原因

人間関係、生活や環境の変化などのはっきりしたストレスの原因があることが特徴です。

適応障害の主な治療方法

ストレス源から離れることと十分な休息、症状に応じて睡眠や食欲、気分を安定させる効果のある薬物療法やカウンセリングなどの心理療法が選択されます。

参考:適応障害 – e-ヘルスネット

依存症

メンタルヘルス とは 依存症

依存症の特徴

依存症とは、日常生活や健康、人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにも関わらず、特定の物や行動をやめたくてもやめられない、自分ではコントロールできない症状です。

有名な物として薬物・アルコール・ニコチンと行動としてはギャンブルなどがあります。

依存症は、特定の物や行動を続けることにより脳に変化が起きることにより症状が引き起こされる病気で、メンタルが弱いからという理由ではないです。

日本では、アルコール依存症が約10万人、薬物依存症が約1万人、ギャンブル等依存症が約3,000人もの人数が病院で治療を受けています。

依存症は本人も依存症と気づいていないことが多いため、患者さんの数と治療者数の間に大きな差が生じているのが現実です。

依存症の原因

ニコチン、アルコール、薬物など特定の物質やギャンブル等特定の行動を続けることによって脳に変化が起きて発症します。

依存症の主な治療方法

個別の精神療法や認知行動療法的な考え方に基づく集団精神療法や自助グループへの参加、場合に応じて薬物療法など、患者さんの状況に合わせて変わります。

参考:依存症|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

発達障害

メンタルヘルス とは 発達障害

発達障害の特徴

発達障害とは、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある症状です。

発達障害も特性の現れ方は人それぞれで、いくつかの障害を併せ持つ場合もあります。

また、発達障害には、生まれつきの特性があり、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)、チック症、吃音などが含まれます。

発達障害の原因

遺伝子のダメージや、生まれつきみられる脳の働き方の違いによるものです。

発達障害の主な治療方法

環境調整や行動療法で、本人が落ち着いて過ごしやすくしていきます
日常生活への支障が大きいなど、必要な場合には薬物療法が選択されます。

参考:発達障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

パニック障害・不安障害

メンタルヘルス とは パニック障害 不安症障害

パニック障害・不安障害の特徴

突発的に理由もなく、心臓が苦しくなるような窒息感や動悸、発汗、吐き気、手足の震えといったパニック発作を繰り返し、生活に支障が出ている状態のことをいいます。

パニック障害は決して珍しい病気ではなく、一生のうち1回だけパニック発作を起こす人は、9人に1人(全人口の約11%)で、4分または3分の1程度の人がパニック発作を繰り返し、パニック障害へと進展するといわれています。

パニック障害の頻度は、全人口の1.5~4.7%といわれています。また、男性よりも女性に発症しやすいということもいわれています。

パニック障害・不安障害の原因

原因ははっきりと解明されていません。ストレスや、脳のはたらきに関連していると考えられています。

パニック障害・不安障害の主な治療方法

気持ちが落ち着く事を目的とした薬物療法とカウンセリングなどの心理療法が行われます。心理療法により、少しずつ苦手なことに慣れていくように練習していきます。

参考:パニック障害・不安障害 – 厚生労働省

職場におけるメンタルヘルス対策が重要な理由3選

メンタルヘルス とは 職場 仕事

上述のとおり、労災におけるメンタルヘルス不調者が増えています。

厚生労働省でも「第13次労働災害防止計画におけるメンタルヘルス対策」を策定し、計画的に労働者の安全と健康を守る取り組みをしています。職場におけるメンタルヘルス対策の必要性と効果について説明します。

理由①仕事や職業生活におけるメンタルヘルスの問題を抱える人が増加

近年の厚生労働省の調査で、仕事や職業生活に関する強い悩み、不安、ストレスを感じている労働者の割合が高くなっていることが明らかになっています。

そのため、メンタルヘルスの問題というのは個人だけではなく、企業にも大きな問題となっています。

理由②うつ病やストレスに起因した心疾患や脳血管疾患の予防が必要

過剰な悩みや不安等のストレスは、うつ病等の精神疾患や心疾患、脳血管疾患等の身体面への悪影響のリスクになります。

ストレスというのは、精神的だけではなく身体的にも影響を及ぼします。

理由③生産性の低下により職場の業績低下につながる

メンタルヘルスの状態が良好でないと、脳のパフォーマンスが低下します。その結果、個人の生産性が低下し、ひいては職場の活気や業績低下につながります。

メンタルヘルスが不調なサイン

メンタルヘルス サイン 不調

メンタルヘルスの不調は自分では気づかない時もあります。

そんな方に実際にどういったサインがあった場合に不調なのかをチェックしてみましょう。

行動に現れるサイン

  • 睡眠障害
  • 引きこもり
  • 突発的に攻撃的になる、悲観的になるなど感情が抑えられない
  • 自傷行為

気持ちに現れるサイン

  • ちょっとしたことでイライラする
  • 悲しみや不安に襲われて泣き出してしまう
  • 食べても味がしない
  • 何もしたくない
  • 考えられない
  • 感覚が鈍くなったり、敏感になったりします

厚生労働省が提示する4つのメンタルヘルスケアの推進

メンタルヘルス 厚生労働省

労働者の安全と健康を守るために、職場でのメンタルヘルス対策の推進が大切です。

ここでは、厚生労働省が推進する対策の4つのケアについて具体的に紹介します

①セルフケア

労働者自身がストレスに気づき、それに対処するための知識、方法を身につけ、それを実践する事が重要です。また、管理監督者にとってもセルフケアは重要です。

  1. ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
  2. ストレスチェック等を活用したストレスへの気づき
  3. ストレスへの対処

②ラインによるケア

「いつもと違う」状態を、上司や同僚が気付くことです。心の健康問題の早期発見や対応につながります。また、会社等によっては保健師、看護師、心理相談担当者、産業カウンセラーまたは臨床心理士に相談し、産業医との仲介役を果たす事も大切です。

いつもと違うサイン
  • 遅刻、早退、欠席が増える
  • 休みの連絡がない(無断欠勤がある)
  • 残業、休日出勤が不釣り合いに増える
  • 仕事の能率が悪くなる。思考力、判断力が低下する。
  • 業務の結果がなかなか出てこない
  • 報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいはその逆)
  • 表情に活気がなく、動作にも元気がない(あるいはその逆)
  • 不自然な言動が目立つ
  • ミスや事故が目立つ
  • 服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする

相談を受けた上司や同僚ができる事

  • 話を聴く(積極的傾聴)
  • 適切な情報を提供する
  • 必要に応じて専門家への相談や受診を促す

③事業場内産業保健スタッフ等によるケア

事業場内産業保健スタッフは、心の健康づくりの中心的役割を果たします。

  • 具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する計画立案
  • 個人の健康情報の取り扱い
  • 事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口
  • 職場復帰における支援

④事業場外資源によるケア

メンタルヘルスケアに関して専門的な知識を有する各種支援を活用する事が有効です。会社等が求める支援に対して適切な情報提供や助言を受ける事で、より良い職場環境に変えて行くことができます。

速やかな対応に繋げられることができるよう、日頃からのネットワークづくりは大切です。

職場環境等の改善の流れ

  1. 職場環境等の評価
  2. 職場環境等のための組織づくり
  3. 改善計画の立案
  4. 対策の実施
  5. 改善の効果評価と改善活動の継続

職場環境等へのアプローチのポイント

  • 過大あるいは過小な仕事量を避け、仕事量に合わせた作業スペースの調整ができること
  • 労働者の社会生活に合わせて勤務形態の配慮がなされていること
  • 仕事の役割や責任が明確であること
  • 仕事の将来や昇進・昇級の機会が明確であること
  • 職場でよい人間関係が保たれていること
  • 仕事の意義が明確にされ、やる気を刺激し、労働者の技術を活用するようにデザインされ ていること
  • 職場での意思決定への参加の機会があること

参考:厚生労働省 | 職場における心の健康づくり

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メンタルヘルスケアの5つの方法を紹介!

メンタルヘルスケア 方法

①活動と休息のバランスを大切にする

仕事のほかに、趣味やリラックスに使う時間も大切です。加えて、朝日を浴びたり、好きなことやリラックスをすることで、心の平穏を保ったり、ポジティブになるホルモンが分泌されます。

また、休息は日中活動した脳のメンテナンスのために非常に重要です。

新しく学んだことを整理して使えるようにしたり、逆に不要な情報を削除するようにと、寝ている間の脳は翌日より良いパフォーマンスをするための準備をしているのです。

②食事で脳を活性化させる

体の資本は栄養ですが、メンタルヘルスにも同じく食事は重要な役割を果たします

糖質、脂質、たんぱく質は3代栄養素として有名ですが、それらを上手く取り込み、脳や体の働きを良くするために、ミネラルやビタミンを摂ることが重要です。バランス良く、3食食べること、時には間食も効果的です。

③日頃から何でも話せる仲間を持つ

一人で抱え込まないこと、周りの人に気づいてもらえることはメンタルヘルスを良好に保ち、必要な時に早期発見、対応をするために非常に重要です

メンタルヘルスの不調が起きた時には、自分では気づけない事も多いため、周りの支援やネットワークが大切です。

日頃の家族、友人関係や職場環境で、ネットワークがあると安心です。

④お酒やタバコは控えめに

ストレス発散には飲み会やタバコでの気分転換!という方も多いと思います。しかし、「やりすぎ」は良くありません。上述したように、依存症のリスクになるばかりでなく、肺や肝臓、脳など体にも負担がかかります。

お酒やタバコのやりすぎをしないよう、定期的に休肝日や禁煙日を作ることをおすすめします

⑤メンタルヘルスについて正しく知る

メンタルヘルスについて正しく知ることは、健康への第1歩です

この記事を読んでくださっている方も、その大きな1歩を踏み出したことと思います。厚生労働省等でも、メンタルヘルスを知るための解説がホームページに出ています。

また、職場や近くの専門家から話を聞くことも効果的です。自分や身近な人の不調や、健康を守ることにつながります。

【メンタルヘルスとは】まとめ

メンタルヘルス とは まとめ

メンタルヘルスとは、健康に欠かせない要素であり、社会問題として世界的にも注目されている分野です。

メンタルヘルスの不調は、脳がうまく働かなくなっている状態です。「本人の気持ちが弱いから」ではなく、「脳が出すSOS」である事をぜひ知っていただき、自身の健康や身近な人のサインを見逃さないようにすることが重要です。

オンラインカウンセリングKimochi

参考:
WHO|メンタルヘルスアクションプラン

日本WHO協会|メンタルヘルスアクションプラン
厚生労働省|みんなのメンタルヘルス
大塚製薬株式会社|脳科学から見た統合失調症

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