睡眠の悩みで最も身近で最も多いものと言っても過言ではない『いびき』。
皆さんの中でもご自身のいびき、一緒に生活している方のいびきに悩まされている方も多いのではないでしょうか。
身近な症状であるが故に、どこか「仕方のないこと」と片付けてしまってはいませんか?
ですが、数々の睡眠障害と同様に、いびきにも発生の原因や対策などがしっかり存在しているのです。
そこで今回は、睡眠を妨げる身近な障害である「いびき」について詳しく掘り下げていくことにしましょう。
そもそも「いびき」とは?
睡眠中に発生する、いわゆる「雑音」のようなものをいびきといいます。
いびきとは「睡眠呼吸障害」のひとつで、鼻腔から気管支までの「気道」という空気の通り道が狭くなり、振動する際に発生する音のことです。
この気道は普段狭くなることはないのですが、睡眠となると仰向けになりますので、その際に舌や喉の周りの筋肉が緩んで下に落ち込みます。
それによって気道が狭くなり、いびきが発生するということです。
では、どうしていびきが発生すると大きな音が鳴るのでしょうか。
いびきは気道が狭くなることで発生しますが、そうなると空気がうまく取り込めず、呼吸がうまく出来ていないのと同じ状態になります。
呼吸が不自由になると、無意識のうちにより多くの空気を取り込もうとします。
それによって喉の振動が促され、大きな音が発生するというのがいびきの仕組みであり、正体なのです。
いびきにも種類がある?
いびき、と一口で言っても実は様々な種類があるものということはあまり知られていないのではないでしょうか。
ここでは、主ないびきの種類について簡単にご紹介します。
いびきには主に以下の種類があります。
- 単純性いびき
- 散発性いびき
- 睡眠時無呼吸症候群に伴ういびき
身近なものと思っていたいびきでも、実は種類が分かれていることは意外と知られていないのです。
名称を見ただけでなんとなく症状が分かるものや、そうでないものもあるのではないでしょうか。
そこで、次の項目でそれぞれの種類についてもっと詳しく触れていきましょう。
いびきの種類ごとに症状や特徴、原因を紹介!
単純性いびきの場合
単純性いびきの特徴は、いびきによって自分が目覚めてしまうことがなく、日中の眠気もないものです。
なので、危険度という側面で見ればそこまで警戒するようなものではありません。
単純性いびきは、鼻詰まりや寝入りばなに多く発生するのが特徴です。
主にこれらの原因で日常的にいびきをかいている場合は、単純性いびきであることが多いようです。
散発性いびきの原因の場合
単発性いびきはどちらかというと「慢性的」というイメージがありますが、それと逆になるのが散発性いびきです。
例えば、特に疲れた時の睡眠や、普段はないけど風邪をひいたときだけ鼻詰まりがある、などといいった場合に発生するのが主な例です。
普段いびきをかかない人がいびきをかいて寝ていると、「よっぽど疲れてるんだね」と感じると思います。
そういった場合は散発性のいびきのことが多いので、できるだけぐっすり寝かせてあげたいものです。
他にも、普段飲酒をしない人がお酒を飲んで入眠するといびきをかく場合がありますが、これも散発性いびきであることが多いです。
単純性とは異なり「普段とは違う」いびきなのが散発性の特徴であり、そのまま原因の解明に繋がります。
睡眠時無呼吸症候群の症状や原因について
先ほど触れた単純性いびきは、睡眠中の覚醒具合や呼吸量の減少などによって「習慣性いびき」と分類されることがあります。
単発性いびきと同じように習慣性いびきに分類されるのが「睡眠時無呼吸症候群」に伴ういびきです。
ここでは、いびきと睡眠時無呼吸症候群の関連について詳しく触れていきましょう。
睡眠時無呼吸症候群の概要
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸が止まってしまう睡眠障害で、放っておくと命の危険がある疾患です。
別名「Sleep Apnea Syndrome(SAS)」とも呼ばれています。
睡眠時無呼吸症候群と判断されるのは、睡眠中の無呼吸が1時間に5回以上発生している場合です。
いびきとの関連
では、いびきとはどう関連するのでしょうか。
常時いびきが発生し、そのいびきもかなりの音量となります。
自分では当然気づかないので、いつもより大きいいびきをかいていたり、それが続いている場合には周りの方の指摘が必要になります。
いびきの原因やその他の症状について
睡眠時無呼吸症候群を伴ういびきには、主に以下の原因があるとされています。
- 扁桃腺の肥大
- アデノイド(上咽頭にあるリンパの塊)の肥大
- 気道への舌の落ち込み
- 舌が人より大きい
- 鼻が曲がっている
これらの実感がある場合には、対策としてそれぞれの改善を考えておくと良いでしょう。
睡眠時無呼吸症候群には睡眠中や日中の生活にも影響を与えてしまう厄介な面もあります。
ひとつは、呼吸が止まるたびに脳が覚醒してしまうということ。
これによって何が発生するかというと、眠りが浅くなり「寝て起きて」を繰り返している状態ですので、日中に強い眠気や疲労感などの症状が出ます。
集中力や記憶力も低下するので、日常生活に悪影響を与えてしまうのが分かります。
他にも、無呼吸によって不眠を併発してしまったり、夜間の頻尿や寝相が悪くなったりといった症状が発生します。
日中の生活に影響が出ることで重病を合併することもありますし、場合によっては交通事故などを起こしてしまう可能性もあります。
そのため、無呼吸を伴ういびきが身近にある、と感じた場合には自身でも周りの人の場合でも放置せず、早急な対応を心がけましょう。
睡眠におけるいびきを放っておくとどうなるの?![いびきを放っておくと思わぬ病気や症状を引き起こすこともある?]()
「なりやすいもの」という認識をしがちですが、いびきをかく人はそうでない人と比べると、睡眠中の血液の酸素量が30%も低下してしまうのです。
こうした状態が、たかがいびきと思っていた状態から思わぬ病気を引き起こしてしまうことがあるのです。
先ほどの項目でも、いびきが睡眠時無呼吸症候群に関連してくることがわかってきましたが、それ以外にもいびきと関連する疾患があるので、ここで紹介していきます。
例えば、先ほど上述した血液の酸素量の低下により、高血圧になりやすくなります。
高血圧になることで、以下の症状を合併する場合もあります。
- 狭心症
- 糖尿病
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
いびきの悪化や放置はいわゆる「生活習慣病」に関連してくるので、日常的なことだからという理由で後回しにするのは絶対にやめましょう。
生活習慣でいえば、肥満もいびきを発生させる原因のひとつ。
肥満も様々な疾患を併発させるので、いびきの対策と合わせて押さえておきたい項目です。
また、睡眠時無呼吸症候群を伴ういびきの原因になるものがそのまま疾患として現れる場合もあるので覚えておきましょう。
例えば扁桃腺の肥大によって無呼吸が発生している場合であれば、習慣性扁桃炎や扁桃周囲農用などを発症しやすい状態だといえます。
鼻に関しての違和感で無呼吸が発生しているのであれば、鼻が曲がってしまうことによる「鼻中隔彎曲症」や「副鼻腔炎」などの疑いがあります。
鼻腔内の粘膜に異常がある場合に発症する「鼻茸症」や「肥厚性鼻炎」なども関連してきます。
このようにいびきや無呼吸が病気を合併したり、病気を発見するサインになることがありますので、何度も言うように「たかがいびき、いつものこと」と認識してしまわないようにしましょう。
睡眠におけるいびき改善に効果的なセルフケアや対策について
ここまでは、いびきの主な原因や合併症などについて触れてきましたが、日常でできる対策についても知っておきたいところでしょう。
主ないびきの原因になる鼻詰まりを防ぐためには以下の対策が効果的です。
- 横向きに寝る
→仰向けで寝ると気道が塞がり、鼻が詰まりやすい為 - 寝室の湿度を調整する
→乾燥が鼻詰まりの原因になるので、加湿器や濡れタオルなどで対応 - 寝酒を辞める
→お酒によって喉の筋肉が緩んで気道が塞がりやすくなる為 - 脂肪の増加、肥満体型
→食生活の改善や定期的なダイエット活動
最近ではいびき対策グッズを薬局で購入することもできますので、上述した対策を実施する上で自信がない方はまずはグッズを取り入れてみるのも良いでしょう。
日常的に発生するいびきに関しては、これらの手段である程度対策ができます。
すっかり慢性的になってしまったいびきや、睡眠時無呼吸症候群を伴ういびきに関してはこの例から漏れてしまいますので、早めの受診が何よりの対策でしょう。
【睡眠におけるいびき】まとめ
今回は睡眠を妨害する最も身近な症状、いびきについて紹介していきましたがいかがでしたでしょうか?
風邪や鼻炎などによる鼻詰まりで発生する日常的なものや、お酒を飲むことなどで発生するイレギュラーなものなど、いびきの中でも種類があります。
一見すると危険はないように思いますが、睡眠時無呼吸症候群を伴う危険ないびきもありますので、普段からいびきをかいている場合には注意が必要です。
日常生活で対策ができる場合もあれば、医師の診断が必須になる場合もありますので、どうか自己判断はせずに不安があればすぐに受診しましょう。
自身のいびきに悩んでいる、周りにいびきが目立つ人がいて心配、という方々にとって今回の内容が何かの参考になれば幸いです。