皆さんは「睡眠障害」という言葉を聞いたことはありますか?
睡眠障害とは、名称の通り『普段の睡眠に何かしらの異常出ている状態のこと』を指します。
私たちが健康的で人間らしく生活していくためになくてはならないのが「睡眠」という行為です。
人間の「3大欲求」とも言われるほど大切な睡眠ですが、睡眠についての悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
- 「眠れない日々が続いている…」
- 「寝付きが悪い…」
- 「寝すぎてしまう…」
- 「夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)」
こういった状態はよく聞くかと思いますし、実感がある方も多いでしょう。
しかし、単なる疲れや日々のストレスを理由に、そのままにしてしまっていませんか?
スルーしてしまいがちな状態も、もしかしたら睡眠障害かもしれません。
今回は、睡眠障害とはどういった状況か、睡眠障害の種類はどれくらいあり、どのような原因があるのかについて紹介していきます。
睡眠障害とは?どんな種類があるのかを簡単に紹介!
私たちの日常生活から快適さを奪ってしまう睡眠障害ですが、実はかなり多くの種類があることをご存知でしょうか。
ここでは主な睡眠障害の種類について紹介していきます。
睡眠障害の種類として分類されるのは、主に以下のものが挙げられています。
- 不眠症
- 過眠症
- 睡眠時無呼吸症候群
- 概日リズム睡眠障害
- 睡眠時随伴症
- むずむず脚症候群
- 周期性四肢運動障害
普段の生活で聞いたことがある症状もあるかと思います。では、それぞれの主な症状と原因について詳しく見ていきます。
不眠症(Insomnia:インソムニア)とは
症状
不眠症は眠れなかったり、早く目覚めてしまうなどの症状が特徴の睡眠障害です。
なかなか眠れない、疲れているはずなのに朝早く目覚めてしまうなどといった症状に苦しんだことがある方も多いかと思います。
日本人の約5人に1人が不眠症の症状に悩まされてると言われているほど身近な睡眠障害なのです。
主に20〜30代のうちに発症しやすく、加齢と共に増加していく特徴があります。
また、不眠症の中でも更に以下の4種類に分けられていますので、ご紹介します。
- 入眠困難→眠りにつくまでに30分から1時間ほどかかる
- 早期覚醒→起床時間よりも早く目覚めて、その後眠れなくなる
- 中途覚醒→眠りについてから起床までの間に何度も目が覚める
- 熟眠障害→熟睡したように感じない、眠りが浅い
普段の睡眠にどれかひとつでも当てはまるようであれば不眠症の可能性を疑うようにしましょう。
主な原因
不眠症と一言で言っても様々な原因があります。
代表的なもので言えば悩みやストレス、緊張などの「精神的要因」のものがあります。
他にも、騒音や明るさが原因で眠れなくなったり、枕や寝る場所自体が変わった時に眠りにつきにくくなる「環境的要因」も不眠症を引き起こしやすい原因です。
年齢的なものや性差、その他体調不良によって不眠症になることもあります。
また、普段の生活習慣から不眠症を引き起こしてしまう場合もあることをご存知でしょうか。
過度の喫煙やカフェインの摂取、常備薬の副作用が原因になることがあります。
生活習慣でいうと、運動不足なども不眠症の原因になりうる要素です。
毎日の健康を害する要因が誰もが触れる毎日の出来事の中に潜んでいるというのも皮肉な話ですが、原因を知っておくだけでも予防に繋がりますので覚えておくことをおすすめします。
過眠症とは
症状
過眠症は不眠症とは真逆の症状で、夜眠れているはずなのに日中も強い眠気に襲われてしまうのが特徴の睡眠障害です。
いわゆる「寝すぎ」に関連する睡眠障害のことを指しますが、過眠症は更に以下の4つのタイプに分類されています。
- ナルコレプシー
- 特発性過眠症
- 反復性過眠症
- 症候性過眠症
ナルコレプシーは10代に特に多い過眠症で、日中の強い眠気や居眠りが多く見られるのが特徴です。
居眠り自体は30分ほどの短い時間で、目覚めた後は比較的すっきりとしています。
他には金縛りが起きやすくなったり、感情的になると体に力が入りにくくなるといった症状が出ることもあります。
また、夢と現実の境がわかりにくくなってしまう症状もナルコレプシーの特徴です。
特発性過眠症ですが、1000人から2000人に1人の有病率とされているナルコレプシーよりも発症人数が少ないと言われています。
主な症状はナルコレプシーと同様に日中の強い眠気と居眠りですが、居眠りの時間が1時間ほどと長く、目覚めても眠気が続いてしまう場合が多いのが厄介なところと言えます。
また、夜間の睡眠時間が10時間以上の長さになるのが特発性過眠症の症状です。
反復性過眠症は有病率の非常に少ない過眠症で「傾眠期」と言われる強い眠気を感じる期間が3日から3週間も持続してしまうのです。
傾眠期自体は自然に回復していきますが、反復性過眠症の厄介なところは不定期で傾眠期を繰り返してしまうというところ。
長期の眠気が定期的にきてしまうので負担もストレスもかかってしまいます。
症候性過眠症は特徴的な症状はありませんが、いびきや無呼吸などが原因で睡眠の質が下がることで日中の眠気を誘う過眠症の一種です。
主な原因
過眠症には明確に原因とされるものが明らかになっていないのが現状です。
脳内の覚醒機能の異常や、夜間の睡眠に何らかの障害が出ているのが原因とも言われていますが、いずれも詳しく解明されていません。
次以降の項目で詳しく解説しますが、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など、他の睡眠障害によって睡眠の質が下がることで過眠症を併発する場合があるようです。
睡眠の質が下がってしまうことで様々な睡眠障害を発生させ、いわゆる悪循環を生み出してしまうということでしょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
症状
睡眠時の呼吸に異常が見られる「睡眠呼吸障害」の代表的な障害が睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)です。
名称の通り睡眠中に何度も呼吸が止まってしまうのが症状の特徴で、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間あたり5回以上繰り返される状態のことをいいます。
他にもいびきや窒息感、頻尿や起きた時の倦怠感があるのも特徴です。
眠っている時間に症状が出るだけでなく、頭痛や日中の眠気なども加わってしまうので起きている時間にも辛さが現れてしまいます。
主な原因
睡眠時無呼吸症候群は「上気道」が閉塞することで発生します。
上気道の閉塞は主に肥満や舌の長さ、顎の大きさなどが原因と言われています。
これによって血流に影響が出てしまい、高血圧や脳梗塞、虚血性心疾患を発症させる場合があるため、とても危険です。
更に厄介な点は、睡眠時無呼吸症候群は自覚症状が少ないということです。
自覚症状があれば自分で予防などの対策が取れますが、自覚がないので誰かが近くにいないとすぐに気付けない危険性があります。
また、「肥満」も原因の1つとして挙げられます。睡眠時無呼吸症候群になる人の全体の60%以上が肥満体型と言われています。
ただし、肥満の人だけが睡眠時無呼吸症候群になるのではなく、顎が小さい・扁桃腺が大きいなどといった人も睡眠時無呼吸症候群になる傾向があります。
概日リズム睡眠障害(がいじつりずむすいみんしょうがい)とは
症状
概日リズム睡眠障害とは、生活サイクル・生活リズムがずれてしまうことで、望んだ時間帯で睡眠をとることができなく、活動に困難をきたす睡眠障害です。
こちらもいくつかタイプがあるので名称と症状について触れていきましょう。
- 睡眠相前進症候群 → 夕方から眠くなり、早朝に目覚めてしまう
- 睡眠相後退症候群 → 明け方まで寝付けず、昼過ぎまで寝てしまう
- 非24時間睡眠覚醒症候群 → 就寝時間と起床時間が1〜2時間ずつ遅れていく
- 不規則型睡眠覚醒パターン → 不眠、眠気、昼寝が増加し、入眠と覚醒が不規則になる
- 交代勤務によって発生する概日リズム睡眠障害 → 不眠、眠気、倦怠感、食欲不振、作業効率の低下
タイプによって入眠時間も覚醒時間も大きく異なり、場合によっては日常生活に支障をきたす症状が出ることがあります。
主な原因
前述した各症状の原因についても同じようにまとめておきましょう。
- 睡眠相前進症候群→体内時計が早く進んでしまうことで発症する
- 睡眠相後退症候群→体内時計の遅れにより発症する
- 非24時間睡眠覚醒症候群→昼夜逆転の生活の反動で体内時計がリセットされなくなることで発症
- 不規則型睡眠覚醒パターン→入院による体内時計のリセット機能の低下や脳梗塞患者に見られる
- 交代勤務によって発生する概日リズム睡眠障害→夜勤と日勤を交互にするなどのスケジュールによって発症
概日リズム睡眠障害は、主に体内時計の狂いで発症することが多いです。
睡眠時随伴症(すいみんじずいはんしょう)とは
症状
睡眠時随伴症とは、別名パラソムニアと呼ばれ、睡眠中に生じるねぼけ、夜尿、歯ぎしり、悪夢など望ましくない睡眠障害のことをいいます。
主に以下の4種類に分類されます。
- 睡眠時驚愕症
- 睡眠時遊行症
- レム睡眠行動障害
- 悪夢
睡眠時驚愕症は深い睡眠中に突然大声を出したり、起き上がって錯乱してしまったりと、主に子供に見られる症状です。
睡眠時遊行症は深い睡眠中に手足をバタバタさせたり歩き回ったりする症状が特徴です。
「夢遊病」とも呼ばれ、こちらも子供に多い症状となっています。
レム睡眠行動障害は高齢者に多い症状で、夢を見て大声を出したり体が激しく動いてしまうのが特徴です。
睡眠中に嫌な夢を見て不安や恐怖を感じて目覚めてしまうのが4の悪夢の症状となっています。
主な原因
4種類に分類されている睡眠時随伴症ですが、主な原因はいずれも「自律神経」の異常と言われています。
子供によく見られる症状は成長過程のものとされる場合もあります。
また、睡眠不足や疲労、過度なカフェインやニコチンの摂取によって発症することもあるので、生活習慣とも関わってくる症状であることがわかります。
むずむず脚症候群とは
症状
むずむず脚症候群とは、入眠しようと床につくと、むずむずした感じや虫が這っているような感覚が脚に現れる睡眠障害です。
「レストレスレッグ症候群」や「下肢静止不能症候群」と呼ばれる場合もあります。
症状は脚を動かすと治りますが、安静にすると再び症状が出てしまいます。
はっきりとした不快感があるのでそのまま不眠に繋がってしまうことも多いのが特徴です。
主な原因
むずむず脚症候群にも突発性と二次性のものがあり、突発性に関してははっきりとした原因は明らかになっていません。
二次性の場合は、脳内のドーパミンのはたらきに異常があるのが原因だと言われています。
ドーパミンは鉄分によって作られますので、鉄分不足がそのままむずむず脚症候群に繋がるとも言えるでしょう。
周期性四肢運動障害(しゅうきせいししうんどうしょうがい)とは
症状
周期性四肢運動障害(PLMD)とは、眠っている最中に何度も脚や手がピクピクと動いてしまうのが睡眠障害です。
手足が動くことで何度も目覚めてしまって睡眠不足やその他の睡眠障害の併発のおそれもあります。
症状が似通っているからなのか、むずむず脚症候群の近縁疾患とも言われています。
主な原因
周期性四肢運動障害はむずむず脚症候群なので、原因も酷似しています。
突発性のものに関しては原因が明らかになっていません。
そうでない場合に関しては、鉄分不足などによるドーパミン異常が原因と言われていますので、むずむず脚症候群と合わせて覚えておくと良いでしょう。
各諸症状と合併する不眠症がある?
睡眠障害の代表的なものとして挙げられる不眠症ですが、自身の体調や精神面での不調などと合併してしまう場合があるのをご存知でしょうか。
ここでは不眠症を合併させてしまいやすい各諸症状について触れていきます。
主に以下に挙げるのが不眠症と合併しやすい症状です。
- 発熱
- 頭痛
- 腰痛
- 神経痛
- 関節痛
- 肺炎
- 喘息
- うつ病
- 統合失調症
- 神経症
- 心不全
- 高血圧
- 血管性障害
- 逆流性食道炎
- 頻尿
今挙げただけでもかなりの数があります。
これらの症状が出ている場合は不眠症を合併してしまいやすいので、自覚症状がある場合にはすぐに受診するのをおすすめします。
睡眠の質が低い時の8つ対策方法
睡眠の質が悪い場合や睡眠障害になった時に睡眠薬などを服用する人も多いと思います。
ここでは、睡眠薬以外の睡眠障害における対策方法を紹介します。
- 寝る前に刺激物を避けてリラックスする
- 眠ろうという意識を持ちすぎない
- 同じ時間に睡眠・起床を心がける
- 太陽光をしっかりと浴びる
- 昼寝は15時前の15~30分
- 寝酒は飲まないようにする
- 規則正しい食事と運動習慣を心がける
- 睡眠中のいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や歯ぎしりは要注意
以上が睡眠障害における対策方法です。眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は専門家に相談するようにしましょう!
参考:厚生労働省 | 睡眠対策「健康づくりのための睡眠指針2014」
まとめ
今回は私たちの健康的な生活を脅かす睡眠障害についてご紹介してきましたがいかがでしたか?
一言で「睡眠障害」といっても多くの種類があり、それぞれに違った症状や原因があります。
睡眠に異常が出てしまうと体調面ではもちろんのこと、精神面にも大きな影響が出てしまいます。
そのため、少しでも睡眠に関して違和感を感じた場合にはすぐに病院で検査をしてもらいましょう。
睡眠障害って聞いたことあるけど詳しくは知らない、今自分が悩んでいるのも睡眠障害かもしれない、と思っている方はぜひ今回の内容を参考にしてみてください。