人間関係を突然リセットして人との繋がりから自由になりたい、そんな思いに駆られて、人から離れ一人になるよう行動してしまう心理を「人間関係リセット症候群」といいます。
「人間関係リセット症候群」は病名ではなく、心理状態を表した造語です。
現代はスマホやPCでインターネットを通して、24時間どこでも、人との繋がりを感じられる時代なのです。
しかしながら、そのつながりが時折苦痛に感じてしまい衝動的に人との関りを一掃して一人になりたいと思う事があるようです。
この記事では、生き方の一つとも捉えられる人間関係リセット症候群、その心理状態や陥りやすいタイプなど詳しく紹介していきます。
人間関係リセット症候群とは?セルフチェック診断
人間関係リセット症候群とは、突然これまで築いてきた人間関係を断ち切り、新たなスタートを切りたくなる心理状態を指します。
この現象は、特定の診断名がついた病気ではなく、医学用語でもありませんが、現代の社会環境や個人のストレスに起因する一種の行動パターンとして注目されています。
この症候群に陥る人は、特定の人間関係や集団に長く関わり続けることで、強いストレスや緊張感を感じ、それを解消するためにリセットという極端な手段を取る傾向があります。特に、LINEやX(元Twitter)など、SNSといったオンラインでのつながりが増えた現代では、このような衝動に駆られる人が増加しているとされています。
人間関係リセット症候群?セルフチェックリスト
「私は人間関係リセット症候群なのかな?」という方は、以下のチェックリストで診断してみてください。
3つ以上当てはまるという方は、人間関係リセット症候群の傾向があるかもしれません。
- 関係がこじれると、すぐに連絡を絶ちたくなる
- 人間関係が煩わしく感じるとSNSアカウントを消したくなる
- 友人や知人と疎遠になることにあまり抵抗を感じない
- 相手の期待に応えることに疲れ、距離を置きたくなる
- 新しい関係は築きやすいが、長く続けるのが苦手
これらの行動は一時的なストレス解消にはなりますが、根本的な解決にはならず、再び同じ状況に陥る可能性もあります。リセットすることで一時的な安心感を得られるものの、その後に再び同様の問題に直面することが多いです。
人間関係リセット症候群は病気ではない
この状態は、精神的な病気として診断されるものではありません。しかし、持続的なストレスや不安感が原因でこうした行動を繰り返す場合、心のケアが必要となることもあります。
人間関係リセット症候群に陥る人は、自分に合ったリフレッシュ方法や、無理のない人間関係を築くための方法を見つけることが重要です。
人間関係リセット症候群の6つの原因
人間関係リセット症候群の原因として、人と無理に関わり続ける事やその関係、環境に限界を感じる心が大きな原因によく挙げられます。
「これ以上縛られたくない」「気が抜けない状態が続いている」など、そんな思いを感じつづけた人が、ある日突然人との関係をリセットしたくなる衝動を抑えられなくなり行動に出てしまうと、人間関係リセット症候群となります。
普段から一人でいる人やマイペースな人が、人に合わせて時間を共にする生活が続くと、いつか窮屈に感じたりしますので人間関係リセット症候群に陥る可能性があります。
また、人の意見を優先しすぎたり、顔意をうかがうような毎日でも心は疲弊してきます。
人とのストレスに弱い、人に興味が少ない、愛情をあまり見せない人や人と信頼関係を築きにくい人ほど、簡単にリセット症候群に陥るかもしれません。
しかし、人間関係リセット症候群は病気ではなく、衝動的に陥る心理でもありますので、心の癖に気づきその思い癖を変えていけるよう対策する事で改善ができます。
1.人と関わることに疲れてしまう
日々の生活の中で、他人と関わること自体が疲れてしまう人は少なくありません。常に他人とコミュニケーションを取り続けることが精神的な負担となり、人間関係をリセットして一人になりたいという感覚が強くなります。
特に、仕事や家庭で他者と密に接する機会が多い場合、この傾向が強まります。
2.気を使い続けることが疲れる
他人に対して常に気を使うことが求められる状況では、心の疲労が溜まりやすくなります。相手を傷つけないように配慮したり、相手の期待に応えようと努力することが続くと、自分の心に余裕がなくなってしまいます。
その結果、人との関係を全てリセットしてリフレッシュしたいと感じるようになるのです。
3.自分が嫌われていると感じる
自分が他の人から嫌われているのではないか、という不安や心配が強いと、人間関係に対して過敏になりがちです。このような心理状態では、ちょっとしたやり取りでもネガティブに捉えてしまい、人間関係が負担に感じられることがあります。
そのため、すべての関係を断ち切って新しいスタートを切りたいという衝動に駆られるのです。
4.周りからの目や評価がストレスになる
他人からの目や評価がストレスになることも、人間関係リセット症候群の大きな要因です。周囲の期待に応えようとするプレッシャーや、他人の評価に過敏に反応することで、自分らしく振る舞えなくなり、次第にストレスが蓄積します。
その結果、周囲の目から解放されたいと感じ、人間関係をリセットしたいという衝動が生まれます。
5.自分を見失い、心の余裕をなくす
過度に他人に合わせ続けると、自分の本当の気持ちや価値観がわからなくなることがあります。自分を抑えて他人に合わせることが習慣化すると、心の余裕がなくなり、息苦しさを感じるようになります。
そうなると、人間関係を一度リセットして、自分を取り戻したいという感情が強くなるのです。
6.仕事やプライベートが忙しすぎて全てが嫌になる
仕事やプライベートでやることが山積みになり、心身ともに余裕がなくなると、全てが嫌になってしまうことがあります。常に忙しさに追われ、休む暇もなく対応し続けることで、疲れがピークに達し、人間関係をリセットして全てを一度ゼロに戻したいという気持ちが強くなるのです。
このような状態では、周囲とのコミュニケーションや自分の時間を楽しむ余裕もなくなり、どこかでバランスを崩してしまいます。全てをリセットして逃れたいと感じる背景には、こうした忙しさや過度なストレスが大きく影響しているのです。
人間関係リセット症候群で後悔?友達がいない?
人間関係が煩わしく感じ、距離を置きたくなることは誰にでもあること。しかし、「もうこの関係は終わりにしよう」と関係を断つ選択を何度も繰り返すと、気づいたときに孤独を感じたり、後悔が残ることもあります。
人間関係リセット症候群に陥ると、相手との問題を「リセット」という手段で解消しようとしてしまいがちです。しかしその都度関係を終わらせることで、結果として長く信頼できる友人が減り、「気軽に話せる人がいない」と感じる瞬間が増えることも少なくありません。
もしこのようなパターンに心当たりがある場合、一度自分の気持ちや付き合い方を見直してみることをおすすめします。
人間関係はすぐに完璧にはいきませんが、小さな工夫や心のケアで信頼を築くことも可能です。
人間関係リセット症候群になりやすい人の特徴
人間関係リセット症候群には、どのような人が陥りやすいのか、性格や特徴を紹介しますので、自分に当てはまるかどうかを確認してみてください。
- 相談しないことが多い
- 生活習慣が乱れやすい
- 1人での行動が好き
- 基本的にネガティブ思考
- 人間関係でストレスを抱えやすい
- 完璧主義
- めんどくさがり
- その場の空気に敏感で人の顔色も気になる
- 要領が良い
- 優しすぎる
以上の特徴は、二つのタイプからみるリセット症候群の特徴をあらわしたものです。
二つのタイプとは、人に合わせ過ぎるタイプと、自分を中心とし過ぎるタイプです。そもそも人はどちらかの性質か、どちらの性質も持ち合わせています。
自分の容量を越えた行き過ぎが人間関係リセット症候群になることが多いようです。
また、現代人は子供から大人までゲームとともに過ごす人が多い現代、ゲームが終了するとリセットしてまた再度プレイを続けるという習慣がこうした症候群につながったのではないかとも言われます。
まさに、現代人に陥りやすい症候群です。
しかし、心の思考癖は誰でも治せますので、気になりだした人は自分の思考癖に気づき「気を紛らわせる方法」を取り入れて、変えていく努力をしていきましょう。
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人間関係リセット症候群の人がやってしまう4つの行動
人間関係リセット症候群になった人がついやってしまう行動を4つに分けて紹介します。
この行動を取る人は人間関係リセット症候群の可能性が高いと言えるでしょう。
突然SNSを削除・退会する
人間関係リセット症候群になった人がやる行動として、前触れもなく突然SNSを削除・退会することがあります。
理由としては、
- SNSで嫌なことを言われた
- 人との関係でネガティブな出来事があった
- 周りの人に心配されたい
- 他の人のSNSを見ていると嫉妬に駆られる
といったことが挙げられます。時には人との距離を取るためやテスト勉強、仕事に集中するためにSNSを休むことはありますが、頻繁に削除・退会を繰り返す人は人間関係リセット症候群の可能性が高いと言えます。
転職を繰り返す
社会人にとって、生活時間における大部分を占めている場所である会社。
社内における人間関係が嫌と感じる人は少なくなく、それが原因となり働く場所を変えることで会社の人間関係を断ち切ることもあります。
また、転職する際には、必要以上に転職先や新しい連絡先を教えない、また連絡しても対応しないなどの行動を取ります。
知り合いのいない場所に引っ越す
現状、身をおいている環境が嫌になり、知り合いのいない場所に引っ越すことで環境と共に人間関係をリセットしたいと考える人もいます。
関係を断ちたいと考えている人がいることや住所を知られているなどが原因となり、引っ越しすることで特定の人間関係をリセットし、新天地で自分らしく生活できるようになるキッカケになるかもしれないです。しかしながら、また人間関係のストレスが溜まり、限界を迎えて引っ越しを繰り返すこともあります。
音信不通になる
「既読はしたものの、返信するのがめんどくさい…」「頻繁に連絡を取るのに疲れてしまった」など、人間関係をリセットしたくなると、SNSの削除・退会以外にも音信不通になるという行動を取ることがあります。
決して誰とも連絡取りたくないと思うだけではなく、家族や親しい人とは連絡が取れるものの、会社や学校の人との連絡は取らないことや特定の人とは連絡を取りたくないと思うこともあるでしょう。
人間関係リセット症候群を改善策!治し方とは?
人間関係リセット症候群に陥りやすい人の特徴から改善策を考えると、心の癖が見えてきます。
人間関係リセット症候群は必ずしも悪いものではありません。誰しもが時に人付き合いが嫌なときは訪れます。ただ、そんな自分を改善したいと思う人も少なからずいます。
そんな人に向けて、ここでは人間関係リセット症候群を改善するためにすることを紹介します。
自分の感じ方に気づき、自分を褒めてあげる
人間関係リセット症候群になりやすい人の特徴として、自尊心が低いや完璧主義などが挙げられます。
これらの特徴を持つ人は、他の人の期待に答えるために必要以上に頑張りすぎてしまう傾向があります。
頑張りすぎた結果、人間関係が嫌になってしまうことがあるため、そんな時に自分に否定的な気持ちを持つのではなく、自分を褒めてあげましょう。
また、自分が他の人に対して、どう思っているのかを考えて行動することで、相手や環境と距離をおいたりして心の状態に応じて、柔軟に対応することができます。
もっとラフになっていいと自分に言い聞かせ、日ごろから考えすぎる自分に気づき、思考を別の事に変えるために「寝る」「音楽をきく」「別の事を考えてみる」など気分を変えることも、おすすめです。
人を好きになり愛情や感謝を心から知る
人間関係に「愛情」を感じられると、簡単にリセットするのではなく、自分を見つめ直し、改善しようとする意識が生まれます。誰かに相談できる人がいることで、信頼関係が築かれ、自分の心の内を開示する勇気を持つことで、深い安堵感を得ることができるでしょう。
信頼できる相手に悩みを打ち明けることは、自分をさらけ出し、不安やストレスを解放するための大切なステップです。無意識に人との距離を作ってしまう人も、人との信頼を築くことで、衝動的にリセットしたい気持ちを抑えることができるようになります。
自分が本当に一人になりたいのか、それとも人との関わりを面倒に感じて遠ざけているのか、自分の本心に気づくことが重要です。気持ちを切り替えることで、関係をリセットすることなく、より良い人生へとつなげることができるのです。
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人を受け入れる勇気を持つ
人間関係をリセットして、人と離れてしまうと孤独で生きていくことになってしまいます。
一人でも生きていけると思われますが、そこにも限界があり、どこかで人のお世話にもなっている事を知ると、感謝が湧いたり、自分を改善したい気持ちを持つことができるようになります。
人を受け入れようとすることで、相手の意外な一面が見つかり、受け入れることが出来るようになるかもしれません。
自分に無理のない範囲で、人を受け入れる勇気を持つことで、改善の一歩を踏み出せるようになります。
一人で考える時間や環境を持つことで、自分の想いにふける時ゆっくりと自分のペースで人を受け入れる時間や気持ちを作ってみましょう。
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人間関係リセット症候群のメリット・デメリット
人間関係リセット症候群は一概にデメリットというわけではなく、メリットになる場合もあります。
そこで、今回は人間関係リセット症候群のメリットを紹介します。
人間関係リセット症候群のメリット
人間関係をリセットすることで、「心の自由」や「ストレスの軽減」、「好きな事へ向き合える時間」を手にできます。
人との関りが限界に来ている時に、無理に合わせて付き合い続けてもストレスが溜まるなどメンタルの衛生上よくありません。
よりよい人生を思う時、「何を選択したいのか」、「どうなりたいのか」を大切に、自分の心と向き合いながら選択していきたいものです。
自分の心に余裕が生まれると、人との関係もよりよくなります。まずは自分が幸せである事、これが一番大切なことです。
人間関係リセット症候群のデメリット
人間関係リセット症候群のデメリットとして、周りの人から見て「自分よがり」「信頼されにくい」「人と仲良くできない」など、人と信頼関係を築けず、人の助けが本当に必要な時には誰も手をかしてくれないという状況に陥るかもしれません。
人間関係をリセットすることで、一人になってしまう事が、自分にとって大切な事なのか、誰かに迷惑だけをかけていないか、周りの人の顔を思い返してみて下さい。
少しでも仲の良かった人がどう思うのか考え、悲しさがよぎるなら、ふいに一人でいなくなるという行動を改めることも一つです。心のリフレッシュを意識して、息抜きや肩の力を抜く事に集中してみましょう。
大事にしてもいい無意識な人間関係リセット症候群
無意識に人間関係リセット症候群に陥りやすい人で、行動できず我慢し続けている人などは、自分のしたい事に気づき、行動してよいのか考える必要がある時もあります。
会社でのストレスや立場が危うい時、朝起きても吐き気や頭痛がして、これ以上人といる事が限界な時や、会社を辞められないなど、自分を追い込む人は、一度、会社や人間関係をリセットする事も考えてみてはいかがでしょう。
こうした「人間関係リセット症候群」は、悪い事ではないので、自分にとって大事な行動かを考えてみましょう。
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人間関係リセット症候群と発達障害・HSPとの関係は?
人間関係リセット症候群は、「うまく関係を築けない」「人付き合いが負担になる」といった感覚から、人間関係を断ち切りたくなる状態です。この傾向は、発達障害やHSP(Highly Sensitive Person)といった特性とも深く関連することが多いと考えられます。
発達障害の特性を持つ方は、コミュニケーションの仕方や相手の意図を読み取ることに難しさを感じやすいため、対人関係がうまくいかないと感じやすいです。誤解が生じやすく、摩擦が続くことで疲弊し、リセットを望む気持ちが強まることがあります。
一方、HSPの方は特に周囲の感情や言葉に敏感なため、人との関わりで強い疲労感を感じることが多いです。繊細な性質から、相手の期待に応えようと無理を重ね、結果としてストレスが積み重なり、「この関係を終わらせたい」という気持ちが芽生える場合があります。
これらの特性を持つ方は、無理に人間関係をリセットせず、まずは自分の特性を理解し、心に負担の少ない付き合い方を工夫することが大切です。専門家のサポートを受けることで、少しずつ安定した関係を築くための方法を見つけられるかもしれません。
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まとめ
現代人の陥りやすい人間関係リセット症候群とは、うつのような病気ではなく、心理状態を表した造語からきています。
現代でのスマホによる24時間の繋がりから、解放されたいと思う心の求心が行動にでてしまったケースなど、ある意味一人になりたい時に考えによる心理です。
リセットばかりしている人は、そうした思考癖に陥る心から一度立ち止まり、自分がどうしたいのかを冷静に見つめることをおすすめします。
リセット症候群は、部屋を掃除するように生きていくうえでの一つの選択肢として、一掃したい心理にも似ています。
その行動はどこから来るものかを知って的確に判断できたら、人間関係リセット症候群も心強い決断に変わるかもしれません。