睡眠のメリットとは?心と体にうれしい8つの効果と睡眠の質を上げる方法

睡眠のメリットとは?心と体にうれしい8つの効果と睡眠の質を上げる方法

「最近、寝ても疲れが抜けない」「忙しくて睡眠時間を削りがち」。そんな毎日が続くと、睡眠を後回しにしてしまうこともありますよね。

睡眠は毎日あたりまえにしていることなので、そのありがたさを意識する機会はあまりないかもしれません。けれど実は、睡眠には脳と体を回復させ、気持ちを安定させるなど、たくさんのメリットがあります。

反対に、睡眠不足が続くと、日中のパフォーマンスだけでなく、心と体の健康にもさまざまなデメリットが出てきます。

この記事では、次のことを順番に紹介します。

  • 睡眠の役割と、レム睡眠・ノンレム睡眠の基本
  • 睡眠がもたらす8つのメリット(子どもにとってのメリットも)
  • 睡眠不足のデメリットと、長時間睡眠・短時間睡眠の注意点
  • メリットを得るための適切な睡眠時間の目安(年代別)
  • 睡眠の質を上げる睡眠改善のコツと、眠れないときの相談先

数字や目安は、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」や公的機関の情報、研究論文のデータをもとにまとめています。

眠れない夜が続いている方の中には、仕事や人間関係の悩みで頭がいっぱいになっている方もいるかもしれません。考えごとが止まらないときは、誰かに話して気持ちを整理するだけでも、心が少し落ち着くことがあります。

もくじ

そもそも睡眠とは?睡眠のメリットを知る前に

そもそも睡眠とは?なぜ人は寝るのか

当たり前のように毎晩とっている睡眠ですが、どんな役割があるのかは意外と知られていません。メリットを見ていく前に、睡眠の基本を確認しておきましょう。

睡眠は脳と体を休ませるための活動

睡眠には「体の休息」の役割があるのはもちろんですが、それと同じくらい大切なのが「脳の休息と管理」です。

脳は体全体から見ると小さな臓器ですが、安静にしているときでも多くのエネルギーを使い、そのぶん老廃物も生み出しています。そのため、長い時間はたらき続けると疲れがたまりやすいという特徴があります。

特に、考えたり判断したりする大脳は、起きているあいだずっと活動しています。大脳をよい状態に保つには、定期的に休ませる時間が必要で、その役割を担っているのが睡眠です。

さらに睡眠中には、日中に得た情報の整理や記憶の定着、ホルモンの分泌、体の修復なども進みます。睡眠は、ただ「活動していない時間」ではなく、翌日の自分を整えるための大切な時間なのです。

レム睡眠とノンレム睡眠のリズム

睡眠には、性質の異なる「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。

  • ノンレム睡眠:脳の活動が低下する眠り。浅い段階から深い段階まであり、深いノンレム睡眠は大脳を休ませる働きに関わるとされる
  • レム睡眠:眠っているのに目がすばやく動き、夢をよく見る眠り。全身の筋肉はゆるんでいるが、脳は比較的活発に働いている

眠りにつくと、まず深いノンレム睡眠があらわれ、その後にレム睡眠が続きます。この2つはおよそ90分の周期で一晩に何度かくり返され、朝に近づくほど浅い眠りとレム睡眠が増えていきます。

深い眠りは睡眠の前半に多くあらわれるため、寝入ってからの数時間をしっかり眠れるかどうかが、睡眠の満足感を左右しやすいといわれています。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」

睡眠は「量」と「質」の両方が大切

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、よい睡眠を「量(睡眠時間)」と「質(睡眠休養感)」の両方が十分にとれている状態と整理しています。

睡眠休養感とは、「眠って休めた」と感じられる感覚のことです。よく「良質な睡眠」といわれるのは、この休養感がしっかり得られる眠りのことだと考えるとわかりやすいでしょう。長く寝床にいても、朝起きたときにぐったりしているなら、質が足りていないのかもしれません。

この記事で紹介するメリットを得るためにも、睡眠時間を確保することと、休めたと感じられる眠りをとることの両方を意識してみましょう。

睡眠のメリット8つ 心と体に起きるよい変化

睡眠による8つのメリット

睡眠ガイド2023では、よい睡眠は脳・心血管・代謝・内分泌・免疫・認知機能・心の健康を保つうえで重要だとされています。ここでは、十分な睡眠で期待できる主なメリットを8つ紹介します。

  • 脳を休ませ記憶を整理する
  • 体の疲れを回復させる
  • 気持ちが安定しストレスに強くなる
  • 食欲を整え肥満を防ぐ
  • 生活習慣病のリスクを下げる
  • 集中力が続きパフォーマンスが上がる
  • 肌の調子を整える美容効果
  • 脳の老廃物を排出し認知症予防につながる可能性

1. 脳を休ませ記憶を整理する

睡眠のいちばん大きなメリットは、脳を休ませられることです。

深いノンレム睡眠のあいだに、昼間に酷使した大脳は集中的に休みます。一方で、レム睡眠のあいだは脳が比較的活発に働いていて、赤ちゃんや子どもでレム睡眠の割合が多いことから、脳の発達にも関わっていると考えられています。

また、睡眠中には、その日に見聞きしたことや学んだことが整理され、記憶として定着しやすくなるといわれています。テスト前や大事な仕事の前に徹夜をするより、しっかり眠ったほうが覚えたことを生かしやすいのはそのためです。

2. 体の疲れを回復させる

睡眠は、体の疲れをとるためにも欠かせません。

起きて活動しているあいだは、体を活動モードにする交感神経が優位に働き、筋肉や脳がフル回転しています。眠っているあいだは、休息モードの副交感神経が優位になり、心拍や血圧が落ち着いて、日中に使った体の回復が進みます。

睡眠ガイド2023でも、睡眠には1日の活動でたまった疲労やストレスから回復させる役割があるとされています。疲れが残ったままだと日中の活動に支障が出て、それがまたストレスになるという悪循環にもつながりやすくなります。寝ても疲れが抜けない日が続くときは、仕事の疲れが取れない原因と対処法も参考にしてください。

3. 気持ちが安定しストレスに強くなる

よく眠れた朝は気持ちに余裕があり、寝不足の日はささいなことでイライラしてしまった、という経験はありませんか。

睡眠不足が続くと、気分が落ち込みやすくなったり、不安を感じやすくなったりすることがあります。睡眠ガイド2023では、睡眠不足が情緒の不安定さと関連すること、睡眠で休めた感覚(睡眠休養感)が低い人ほど抑うつの度合いが強いという日本の研究があることも紹介されています。

しっかり眠ることは、心の余裕を保ち、ストレスと上手につき合うための土台になります。ストレスとの向き合い方を知りたい方は、仕事のストレスが溜まるときの原因と解消法の記事も参考にしてください。

4. 食欲を整え肥満を防ぐ

睡眠には、食欲を整えて肥満を防ぐメリットもあります。

私たちの食欲は、食欲を抑えるホルモン「レプチン」と、食欲を高めるホルモン「グレリン」のバランスで調整されています。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な人でも睡眠不足が数日続くと、レプチンが減ってグレリンが増え、食欲が増してしまうことがわかっています。

夜ふかしをすると、つい夜食に手がのびてしまうのはこのためかもしれません。毎日決まった時間に眠ることで生活リズムが整い、食事の時間も安定しやすくなります。

5. 生活習慣病のリスクを下げる

十分な睡眠は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながると考えられています。

e-ヘルスネットでは、睡眠不足になるとインスリンが効きにくくなって血糖が上がりやすくなること、本来は夜に下がるはずの血圧が下がりにくくなることが紹介されています。また、寝つけない、夜中に目が覚めるといった不眠の症状がある人は、よく眠れている人に比べて糖尿病になるリスクが1.5〜2倍になるとされています。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」

毎日の睡眠時間や寝る時刻をなるべくそろえることが、生活習慣病のリスクを下げる第一歩になります。

6. 集中力が続きパフォーマンスが上がる

睡眠が足りていると、日中の集中力や判断力を保ちやすくなります。

睡眠ガイド2023では、睡眠不足が注意力や判断力の低下、作業効率や学業成績の低下と関連し、事故などの重大な結果を招く場合もあると説明されています。よい睡眠は、仕事や勉強の成果だけでなく、眠気による事故やけがを防ぐことにも役立ちます。

体がしっかり回復していれば、運動や人とのコミュニケーションにも前向きに取り組みやすくなり、心と体の両面で充実感を得やすくなるでしょう。

7. 肌の調子を整える美容効果

美容効果

睡眠は美容にもうれしい効果が期待できます。

私たちの肌は「ターンオーバー」という代謝のサイクルで少しずつ生まれ変わっています。この働きを支えているホルモンの一つが「成長ホルモン」で、寝入ってすぐにあらわれる深いノンレム睡眠のときに多く分泌されることが知られています。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「ノンレム睡眠」

高価なスキンケアを試す前に、まずは睡眠時間と寝入りばなの深い眠りを確保することが、美容のための近道になるかもしれません。

8. 脳の老廃物を排出し認知症予防につながる可能性

近年は、睡眠と認知症の関係にも注目が集まっています。

アルツハイマー型認知症には、脳の中にアミロイドβなどの老廃物がたまることが関わっていると考えられています。2013年に科学誌「Science」に発表されたマウスの研究では、眠っているあいだは脳の細胞のすきまが広がり、アミロイドβが取り除かれる速さが増すことが報告されました。

参考:Xie L, et al. Sleep drives metabolite clearance from the adult brain. Science. 2013

睡眠ガイド2023でも、睡眠時間が極端に短いと認知症の発症リスクが高まるという研究が紹介されています。人での効果はまだ研究が続いている段階ですが、十分な睡眠が脳の健康を守ることにつながる可能性があります。

子どもにとっての睡眠のメリット

睡眠のメリットは、大人だけのものではありません。成長期の子どもにとって、睡眠はとくに大切な時間です。

成長ホルモンは深い眠りのときに多く分泌されるため、「寝る子は育つ」という言葉にはそれなりの理由があります。また、睡眠中に記憶が整理されることは、学校で学んだことを身につけるうえでも役立ちます。

睡眠ガイド2023では、こどもの睡眠不足が肥満のリスクや、心の健康の問題(抑うつ傾向など)、学業成績の低下とも関連すると紹介されています。思春期になると体内時計が後ろにずれて夜ふかしになりやすいため、家族で早寝早起きの習慣をつくることがすすめられています。

小学生・中学生・高校生それぞれの睡眠時間の目安は、このあとの「適切な睡眠時間」の章で紹介します。

ここまで読んで、「わかってはいるけれど、悩みごとがあってなかなか眠れない」と感じた方もいるかもしれません。頭の中のモヤモヤは、言葉にして誰かに話すことで整理されていくことがあります。

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睡眠不足のデメリット メリットの裏返しで起きること

睡眠のメリットを裏返すと、睡眠不足のデメリットが見えてきます。まず、日本の現状を見てみましょう。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、令和5年の国民健康・栄養調査では、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は男性38.5%、女性43.6%にのぼりました。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「健やかな眠りの意義」

眠気や集中力の低下、事故のリスク

睡眠不足になると、日中の眠気や疲れが出やすくなり、頭痛などの体の不調も増えるとされています。注意力や判断力が落ちるため、仕事のミスが増えたり、車の運転中にヒヤリとしたりすることもあります。

イライラや落ち込みなど心の不調

寝不足の日は、ちょっとしたことでイライラしたり、気分が沈んだりしやすくなります。睡眠ガイド2023では、うつ病などの心の病気では早い段階から睡眠の問題があらわれること、睡眠の問題そのものが心の病気の発症リスクを高めるという報告もあることが紹介されています。

生活習慣病や死亡リスクの上昇

睡眠ガイド2023では、睡眠不足が続くことで次のようなリスクが高まるという研究が紹介されています。

  • 日本の男性労働者約4万人を7年間追跡した研究では、睡眠時間が5時間未満の人は、5時間以上の人に比べて肥満になるリスクが1.13倍
  • 日本の男性労働者2,282人を14年間追跡した研究では、睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上8時間未満の人に比べて心筋梗塞などの心血管疾患の発症リスクが4.95倍
  • 世界の研究を集めて約92万人分のデータを解析した研究では、睡眠時間が6時間未満になると死亡リスクが有意に上昇

寝だめでは睡眠不足を解消しきれない

「平日は寝不足でも、休日にたっぷり寝れば大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。

しかし睡眠ガイド2023によると、休日の寝だめでは平日の日中の眠気は完全には解消できず、メリットはかなり限られるという報告があります。平日に6時間以上眠れている人が休日に1時間ほど長く寝るのはよいとされる一方、平日6時間未満の人は、休日に寝だめをしても寿命が縮むリスクが高いままだったという調査もあります。

睡眠不足を解消するには、休日にまとめて眠るより、平日の睡眠時間を少しずつでも確保することが大切です。休日に寝すぎて月曜の朝がつらくなる悩みは、ブルーマンデー症候群の原因と対策で取り上げています。

長時間睡眠と短時間睡眠のメリット・デメリット

「睡眠のメリットがこれだけあるなら、長く寝れば寝るほどいいの?」と思うかもしれません。ここでは、短時間睡眠と長時間睡眠について見ていきましょう。

短時間睡眠に体を慣らすことはできる?

短時間睡眠のメリットとして、起きている時間が増えることを挙げる人もいます。ですが、ここまで紹介したように、睡眠時間が極端に短いと、肥満や高血圧、糖尿病、心疾患、うつ病などのリスクが高まることがわかっています。

もともと短い睡眠で足りる体質の人もいますが、多くの人にとって、短時間睡眠は健康へのデメリットのほうが大きいと考えたほうがよいでしょう。日中に強い眠気がある場合は、睡眠が足りていないサインです。

長時間睡眠はメリットだらけ?

では、長時間睡眠ならメリットだらけかというと、そうとも限りません。

睡眠ガイド2023によると、体が必要とする以上に眠ろうとして寝床で長く過ごすと、寝つくまでに時間がかかる、途中で目が覚める、ぐっすり眠った感じがしないなど、かえって眠りの質が下がることがわかっています。

とくに高齢の方では、睡眠不足よりも、寝床にいる時間が長すぎることによる健康リスクのほうが強くあらわれると報告されています。

7時間睡眠と8時間睡眠どちらがいい?

日本の40〜79歳の男女約10万人を平均約10年間追跡した研究(JACC Study)では、睡眠時間が7時間の人で死亡リスクが最も低いという結果が出ています。この研究では、7時間より短くても長くても、死亡リスクが高くなる傾向が見られました。

参考:Self-reported sleep duration as a predictor of all-cause mortality: results from the JACC study, Japan

ただし、これは自己申告の睡眠時間をもとにした研究で、必要な睡眠時間には個人差があります。睡眠ガイド2023では、成人ではおおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられ、人によっては8時間より1時間ほど長い睡眠も適正な範囲に入るとされています。

つまり、7時間睡眠と8時間睡眠のどちらが正解というより、日中に眠気がなく、朝に「休めた」と感じられる時間が、あなたにとっての適切な睡眠時間だといえます。

睡眠のメリットを得るための適切な睡眠時間

ここからは、睡眠ガイド2023をもとに、年代別の睡眠時間の目安を紹介します。

大人は6時間以上が目安

睡眠ガイド2023では、成人について「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」ことが推奨されています。

なお、夜に実際に眠れる時間は年齢とともに少しずつ短くなり、15歳前後で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間というように、成人後は20年ごとに30分ほど減っていくことが示されています。

子ども・小学生・中高生の目安

こどもについては、次の睡眠時間を参考にするようすすめられています。

  • 1〜2歳児:11〜14時間
  • 3〜5歳児:10〜13時間
  • 小学生:9〜12時間
  • 中学生・高校生:8〜10時間

※1〜5歳児の目安は、睡眠ガイド2023が紹介している米国睡眠医学会の推奨です。

小学生以降は、朝起きる時刻を決めたうえで、必要な睡眠時間から逆算して寝る時刻を決めるとよいとされています。

高齢者は寝床にいる時間に注意

高齢者については、寝床にいる時間(床上時間)が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保することがすすめられています。床上時間の目安は、1週間の平均睡眠時間に30分ほどを足した時間です。日中の長い昼寝は夜の眠りを妨げるので、避けるようにしましょう。

参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

自分に合う睡眠時間の見つけ方

必要な睡眠時間は人によって違うため、次のような点を目安に、自分に合う時間を探してみましょう。

  • 朝、目覚めたときに「休めた」と感じられる
  • 仕事中や勉強中に、がまんできないほどの眠気が来ない
  • 休日に、平日より大幅に長く寝てしまうことがない

休日に大幅に寝坊してしまう場合は、平日の睡眠時間が足りていないサインかもしれません。

睡眠のメリットを引き出す睡眠改善のコツ

睡眠のメリットを効率的に引き出す方法を紹介!

睡眠のメリットを十分に得るには、時間を確保するだけでなく、眠りの質を高める工夫も大切です。睡眠ガイド2023で紹介されている内容をもとに、今日から取り入れやすい睡眠改善のコツをまとめました。

朝の光と朝食で体内時計を整える

起きたらカーテンを開けて、朝の光を浴びましょう。朝の強い光は体内時計をリセットし、夜に自然な眠気が来やすくなります。日中にできるだけ光を浴びることも、夜の眠りにつながります。

朝食をとることも体内時計を整える助けになります。反対に、寝る直前の夜食や間食は体内時計を遅らせ、翌朝の休めた感覚を下げることがあるので控えめにしましょう。

日中に体を動かす

ウォーキングやジョギングなどの運動は、寝つきをよくし、深い眠りを増やすと報告されています。まとまった時間がとれなくても、通勤で一駅歩く、階段を使うなど、日常の中で体を動かす工夫から始めてみましょう。

ただし、寝る直前の激しい運動は眠りを妨げることがあります。ジムなどでの運動は、寝る2〜4時間前までに終えるのがおすすめです。

入浴は寝る1〜2時間前に

寝る1〜2時間前に湯船につかって体を温めると、その後に体の熱が逃げていくタイミングで眠気が訪れやすくなります。熱すぎるお湯はかえって目がさえてしまうので、少しぬるめのお湯でゆっくり温まりましょう。

寝室を暗く快適にする

眠っているあいだは、弱い光でも途中で目が覚めやすくなることがわかっています。寝室の照明はできるだけ暗くし、外の明かりが気になる場合は遮光カーテンやアイマスクで光をさえぎるのも一つの方法です。

寝室は暑すぎず寒すぎない温度に保ち、季節に合った寝具を選びましょう。

カフェイン・寝酒・たばこに気をつける

コーヒーやお茶、エナジードリンクに含まれるカフェインには、目を覚ます作用があります。睡眠ガイド2023では、1日のカフェインの量は400mg(コーヒー700cc程度)を超えないこと、夕方以降はとりすぎないことがすすめられています。

「お酒を飲むとよく眠れる」と感じる方もいますが、眠るためにお酒を飲む寝酒や深酒は、睡眠の質を悪くする可能性があります。たばこに含まれるニコチンにも、眠りを悪くする作用があります。

スマホは寝室に持ち込まない

寝る前にスマホやタブレットを見ていると、画面の光で目がさえて寝つきが悪くなります。とくに寝転がって画面を近くで見ると、光を浴びやすくなります。寝る前はスマホを別の部屋に置き、本を読む、ストレッチをするなど、リラックスできる時間にあてましょう。

眠れないときは無理に寝床にいない

なかなか寝つけないときに「早く寝なきゃ」と焦るほど、目がさえてしまうものです。眠れないときは一度寝床を離れ、暗めの静かな場所でリラックスし、眠気が来てから寝床に戻るとよいとされています。寝床で考えごとをするのも避けましょう。考えごとで頭がいっぱいのときは、マインドフルネスの基本のやり方で呼吸に意識を向けてみるのも一つの方法です。

睡眠を記録して管理する

寝床に入った時刻・眠った時刻・起きた時刻と、朝の体調を1週間ほど記録してみると、自分の睡眠の傾向が見えてきます。スマホのアプリやウェアラブル端末を使うのもよいですが、数字にとらわれすぎず、「休めたかどうか」の感覚もあわせてメモしておくのがおすすめです。

睡眠を改善しても眠れないときは

生活習慣を見直してもよく眠れない日が続くときは、一人でがまんせず、原因を探ってみることが大切です。

睡眠ガイド2023では、眠れない、眠っても休めた感じがしない、日中に強い眠気があるといった症状が続き、生活に影響が出ている場合は、睡眠障害が隠れている可能性があるため、速やかに医師に相談するようすすめられています。

睡眠障害にはどんな種類があるのか知りたい方は、睡眠障害の種類と相談先の記事で紹介しています。

悩みやストレスで眠れないときはカウンセリングも

仕事の不安や人間関係の悩みが頭から離れず、布団に入っても考えごとが止まらない。そんなときは、体よりも心が休めていないのかもしれません。

考えごとが止まらず眠れない夜が続くときは、カウンセリングで話を聞いてもらうのも一つの方法です。頭の中でぐるぐるしている悩みを言葉にして整理すると、布団に入ったときの気持ちが少し軽くなることがあります。

仕事の悩みで眠れない方は仕事の不安とストレスで眠れない方への記事、考えすぎて眠れない方は考えすぎて眠れない繊細さんのための対処法の記事も参考にしてください。

眠れない夜に浮かんでくる不安は、言葉にして誰かに受け止めてもらうだけで、少し小さくなることがあります。

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よくある質問

睡眠のメリットや睡眠時間について、よくある疑問にお答えします。

Q. 睡眠のメリットにはどんなものがありますか?

主なメリットは、脳を休ませて記憶を整理する、体の疲れを回復させる、気持ちを安定させる、食欲を整えて肥満を防ぐ、生活習慣病のリスクを下げる、集中力を保つ、肌の調子を整える、脳の老廃物を取り除く、などです。どれも、十分な時間と質のよい眠りがそろってこそ得られやすくなります。

Q. 理想の睡眠時間は何時間ですか?

厚生労働省の睡眠ガイド2023では、成人は6時間以上を目安に、必要な睡眠時間を確保することがすすめられています。適正な睡眠時間には個人差があるため、日中に強い眠気がなく、朝に休めたと感じられる時間を目安にしてください。

Q. 長時間睡眠をとればとるほど健康にいいですか?

長く寝ればよいわけではありません。必要以上に寝床で過ごすと、眠りが浅くなったり途中で目が覚めたりしやすくなります。日本の研究では、睡眠時間が7時間より短くても長くても死亡リスクが高い傾向が見られました。毎日長く寝ても眠気が続く場合は、前の章で紹介した睡眠障害の可能性も考えてみてください。

Q. 短時間睡眠でも元気に過ごせる方法はありますか?

もともと短い睡眠で足りる体質の人もいますが、多くの人にとって睡眠時間を削ることは健康へのデメリットが大きいと考えられています。忙しいときこそ、まずは6時間以上の睡眠時間を確保できるよう、寝る時刻を少しずつ早めてみましょう。

Q. 睡眠不足を解消するにはどうすればいいですか?

休日の寝だめでは平日の睡眠不足を解消しきれないとされています。平日の睡眠時間を少しずつ増やすこと、毎朝同じ時刻に起きて朝の光を浴びること、寝る前のスマホやカフェインを控えることから始めてみてください。

Q. 子どもや小学生はどのくらい眠ればいいですか?

睡眠ガイド2023では、小学生は9〜12時間、中学生・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することがすすめられています。朝起きる時刻を決め、そこから逆算して寝る時刻を決めるとよいでしょう。

よくある質問を読んで、「眠れない理由は生活習慣より、心の疲れにありそう」と気づいた方もいるかもしれません。睡眠と心はつながっているので、心のケアが眠りを整える一歩になることもあります。

まとめ

睡眠のメリットについて、ポイントを振り返ります。

  • 睡眠は脳と体を休ませ、翌日の自分を整えるための大切な時間
  • 睡眠には、脳の休息と記憶の整理、疲労回復、心の安定、肥満や生活習慣病の予防、集中力の維持、美容、脳の老廃物の排出など、多くのメリットがある
  • 睡眠不足が続くと、眠気や事故、心の不調、生活習慣病、死亡リスクの上昇などのデメリットがある。寝だめでは解消しきれない
  • 長く寝るほどよいわけではない。成人は6時間以上を目安に、日中の眠気や朝の休養感から自分に合う時間を探す
  • 小学生は9〜12時間、中高生は8〜10時間、高齢者は寝床にいる時間が8時間以上にならないことが目安
  • 朝の光、運動、入浴のタイミング、暗い寝室、カフェインや寝酒を控えるなどの工夫で、睡眠の質を高められる
  • 工夫をしても眠れない日が続くときは、一人でがまんせず誰かに相談する

睡眠は、がんばらなくても毎日できるセルフケアです。今夜はいつもより少し早く布団に入り、心と体をゆっくり休ませてあげてください。

ストレスが限界に近いときのサインについては、精神的ストレスが限界を超えるサインの記事でもくわしく紹介しています。

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