多くの人がストレスや悩みを抱えがちな現代。
実は、その悩みと同時に「相談相手がいない」という問題を抱えている方も、決して少なくはありません。
ここでは、そのような方が一歩足を前に踏み出し、誰かに悩みを相談できるようになる方法について、解説していきます。
相談できる人がいない人の割合
さまざまな人たちが何らかのストレスや悩みを抱えながら日々を過ごしていますが、そのような悩みを「相談できる人がいない」と感じている人はどれくらいいるのでしょうか?
厚生労働省による不安や悩みを持つ人を対象とした調査によると、「家族や友人に悩みを相談する」と答えた人がいた一方、「不安や悩みを相談する相手がいない」と答えた人は、男性で35.7%、女性で21.3%いることがわかりました。
この調査から、多くの人が、誰にも相談をすることができず、一人で悩みを抱えてしまっているということがわかります。
引用:厚生労働省ホームページ | 平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~
家族や職場で相談できる人がいない原因とは?
相談できる人がいないのには、いくつか原因があります。そのような原因について紹介していきます。
- 悩みの原因が身近な人間関係から起きている問題のため
- 個人的な悩みを他者に知られるのに抵抗があるため
- 自分の別の一面を見せることにためらいがあるため
- 心配や迷惑をかけたくないため
- 相談しても無駄だと感じてしまっているため
原因①悩みの原因が身近な人間関係から起きている問題のため
私たちにとってのたいていの悩みは、身近な人間関係から発生すると言えます。
家族関係におけるトラブルからくる悩みや、職場や学校で発生した問題、人間関係からくるストレスというように自分の悩みの原因が、そもそも自分が普段身を置いている環境や人間関係にあるからこそ悩んでいるという方も多いでしょう。
そういった場合、結果として、身近な人に相談しても解決のしようがない・相談する相手がいないという状況が起こりがちです。
原因②個人的な悩みを他者に知られるのに抵抗があるため
自分の抱える悩みやトラブルが個人的な内容であるため、誰にも知られたくない・知られるのが恥ずかしいという思いを持っている方も多くいます。
特に、悩みを抱えている時は自分の中で悩みが肥大化してしまいがちなため、「こんなことを伝えたら、どう思われるかわからない」「こんな問題やトラブルを抱えているなんて、恥ずかしくて口外できない」「悩みを広められたらどうしよう・・」といった心理に陥り、結果として、誰にも相談できなくなりがちです。
原因③自分の別の一面を見せることにためらいがあるため
今まで真面目に一生懸命に生きてきた人ほど、または、明るく元気というイメージを周囲に持たれている人ほど、「こんなことで悩んでいる姿を周囲の人に知られたくない」「弱っている自分を見せたくない」と、人に悩みを相談することをためらいがちです。
そういった思いが強い人ほど、無理して「いつも通り」を一生懸命通してしまうので、結果として、誰にも相談することができないといった状況を自分自身で作り出すこともあります。
原因④心配や迷惑をかけたくないため
家族のように、自分のことを大切に思ってくれている相手だからこそ、「自分がこんな状態であることを打ち明けて、相手につらい思いをさせたくない」と考えてしまう傾向があります。
職場でも同様で「職場に心配や迷惑をかけたくない」「打ち明けることで、仕事に支障をきたしたくない」と考える方がたくさんいます。
どちらも、相手や自分の置かれている状況を思っての判断なのですが、結果として自分一人で苦しみを抱え込み、自分を追い詰めてしまうという状況を生み出しています。
原因⑤相談しても無駄だと感じてしまっているため
近しい間柄である家族だからこそ、相手の発言や行動のパターンが読めてしまい、「どうせ、こう言い返されるだろう」「ずれた答えしか返ってこないだろう」と、過去の出来事をもとに結論づけてしまうことがあります。
また、職場や学校の中で生じている問題やトラブルに対しても、自分が身を置き、状況が身にしみるほどわかっている環境であるからこそ「誰かに相談したところで、状況が変わるわけはない」と感じ、「誰に言ってもしょうがない」と、諦めて一人で問題を背負ってしまうことも、よくあるようです。
相談できる人がいない時に起きること
- 気持ちが落ち込み、心や体に不調をきたす
- 堂々巡りから抜け出せなくなる
- マイナス思考に陥る
- 鬱病のような心の病になる
気持ちが落ち込み、心や体に不調をきたす
身体の中に毒素を溜め込むと健康を害するのと同様、悩みやストレスを外に吐き出すことなく自分の中に溜め込み続けると、次第に気持ちが落ち込み、心身に不調をきたす原因となります。
目覚めや寝付きが悪くなったり、食欲がなくなったりするなど、身体面に変化が現れることもあります。
また、日常的に憂鬱な気分が続き、仕事に出かけるのが億劫になり、やる気が起きなくなったり、楽しい嬉しいと感じる「快」の気持ちを感じづらくなるなど、心理面に変化が現れることもあります。
堂々巡りから抜け出せなくなる
悩みごとを抱え、自分一人だけでその問題に対処していると、他者の視点や外部からの新しい気付きの材料が入ってこないため、出口の見えない堂々巡りの思考パターンに陥りがちです。
また、その堂々巡りの思考の中で、悩みやストレスの原因となった出来事や他者の発言などを何度も思い出してしまい、考えれば考えるほど出口が見えなくなり、さらに自分を苦しめてしまうという問題も起きてしまいます。
マイナス思考に陥る
堂々巡りの思考パターンには、たいてい「不安」や「怒り」や「悲しみ」といったマイナス感情が伴います。
「ああでもない、こうでもない.・・」と思考を巡らすことで、同時に、自分が今抱えているマイナス感情も何度何度も自分の中で反芻されることになり、結果として、マイナス感情が「強化される」という現象も起こりがちです。
マイナス感情が強化されてしまうと、物事の捉え方や受け取り方、考え方などもマイナス思考に偏ってしまうという問題が引き起こされます。
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孤独感に陥る
自分の苦しい胸の内を、誰に打ち明けることもできず、一人で抱え続けると、「自分を理解してくれる人はいないのでは?」「自分を味方してくれるような人はいないのでは?」といった気持ちを抱くようになることもあります。
それにより、自分のことを価値がない人間のように感じたり、生きていく価値が見出だせなくなったりすることがあります。
自分や自分の人生に価値を感じなくなると、その感情が孤独感を生み出し、日常的に孤独感を感じるようになります。
鬱病のような心の病になる
人は人間関係においてストレスや悩みを抱えますが、一方で、その人間関係において、救われたり癒されたりもするものです。
しかし、誰にも自分の苦しみを打ち明けることができず、限界まで苦しみを抱えこむと、鬱病のような心の病を発症してしまうことがあります。
満タンになっている壺に、さらに水を注ぎ続けると溢れ出してしまうのと同じで、すとれる屋悩み事も、一人で抱え続けると、溢れ出してしまい、それが心の病となって現れるのです。
相談できる人がいない場合にはどうすればいいの?相談しやすくなる5つの方法
原因や相談できない時におちいってしまうことなどを紹介してきました。
では、相談できない時にはどうすればいいのかについて紹介していきます。
これらを確認して、相談しやすい環境を作っていきましょう。
オンラインのビデオ通話によるカウンセリングを利用する
オンラインのビデオ通話機能を使い、オンライン上の対面で、実際の対面カウンセリングに近い形で相談を進めるカウンセリング方法です。
- 医療機関やカウンセリングオフィスに通うことなく、自宅にいながら対面カウンセリングを受けることができる
- 気軽に受けられるので、心理的なハードルが低い
- チャットや電話による相談に比べるとはるかに情報量が多いが、あくまでオンライン上での相談なので、互いに、実際の対面鑑定と同様の関係構築はしづらい
- サービスによってはマッチしないカウンセラーがいる
電話や音声のみのオンラインカウンセリングを利用する
特徴:電話やオンラインの通話機能を使い、会話のやり取りのみで相談を進めるカウンセリング方法です。
- 自分の顔を見せることなく、相談をすることができる。
- 場所を選ばずに相談ができる。
- カウンセラーが、相談者の表情やしぐさからの情報を読み取ることができない
- お互い、表情を見ていないので、打ち解けるのに時間がかかる場合がある
- 対面に比べると、深い悩みの解消には時間がかかる
SNSのチャットやメールによるカウンセリングを利用する
オンライン上のSNSのチャットやメール機能を使い、文字での会話のやり取りで、相談を進めるカウンセリング方法です。
- 自分の顔を見せることも声を出すこともなく、相談をすることができる
- しゃべることが苦手な人でも、文章を組み立てながら相談をすることができる
- 時間と場所を選ばずに相談ができる
- 対面のカウンセリングに比べ安価である
- カウンセラーが、相談者の表情や声からの情報を読み取ることができないため、文字情報のみのやりとりに限定される
- 文字情報だけのため、深い悩みの解消は難しい
対面でのカウンセリングを利用する
実際に医療機関やカウンセリングルームに出かけ、カウンセラーと顔を合わせて相談を進める、従来のカウンセリング方法です。
- お互いが顔を合わせて相談を進めるため、声の抑揚や表情、その場に生まれる空気感など、言語以外の情報をカウンセラーが受け取り、相談者(クライエント)の心理を深く読み取ることができる
- 対面で進めていくため、関係性の構築と心の問題の解消が早い
- 医療機関やカウンセリングオフィスに予約を入れ、出向く必要がある
- オンラインでのカウンセリングに比べ高額になりがちである
各地方自治体の「心の相談窓口」等を利用する
各都道府県や市区町村に設置されており、地域住民であれば誰でも相談可能な、公的な機関の運営する相談窓口。来所相談も、電話相談も可能。
- 公的な機関が提供しているもののため、安心して相談することができる
- 無料や匿名で相談可能なものもある
- 相談内容によっては、地域の福祉や医療につなげてもらうことも可能
- カウンセリング料を支払って相談するカウンセリングに比べて、簡易的なものになりがちである
- 必ずしもカウンセラーが資格を持っているとは限らない場合がある
相談が苦手な人でも相談できる人を探す方法や作る方法とは?
相談をすることを考えた時に相手のことを思いすぎてしまう、自分の悩みに焦点を当てすぎてしまうことで周りが見えにくくなるなどで結局相談できずにいる場合もあります。
そういった時にどんなことを意識すれば良いのかをまとめました。
自分の思い込みをいったん脇に置く
自分一人で悩み事で頭がいっぱいになっている時は、「みんな忙しいのに、こんな話誰も聞きたくないのでは?」といった思いや「迷惑や心配をかけるだけでは?」と思ってしまうことがあります。
こういった相手の時間を取っては申し訳ないと思う人の多くは人のことを考えられる人が多いです。しかし、その考えが自分の勝手な思い込みという可能性があります。
自分自身で「相手はこう感じるのでは?」と結論づける思い込みの癖をいったん脇に置き、家族や友人や同僚に思い切って相談してみると、自分が思っていた以上に親身になってもらえるということもあります。
うまく伝えようとしない
悩みを相談しようにも、頭や心の中がまとまっていないため、「いったいどこから、どのように話をすればいいのか?」と考え、結局何も言い出せなくなってしまう方も多くいます。
しっかりとまとめて伝えようとする必要もないので、まずは心を許せる相手に対して、SOSを出すことから始めましょう。
上手にしゃべれず、適切な返答が返ってこなかったとしても、聞いてもらえ、隣に一緒にいてもらえるだけでも、心が軽くなり癒されることはよくあります。
誰にでも多かれ少なかれ悩みはあると理解する
自分の悩みや苦しみだけに捉われている時は、周囲の人たちには何も悩みがないように感じたり、自分一人だけが問題を抱え、不幸のどん底にいるような気持ちを抱きがちです。
その結果、誰にも自分の気持ちはわかってもらえないと、孤独感を深めることもあります。
しかし、そういった考えも自分の辛さにばかり焦点が当たる「認知の歪み」から来ていることもあります。
考え方をすぐに切り替えることは少し難しいですが、表面上は見えないだけで、誰もが何かしらの悩みや問題を抱えて生きていて、自分だけが苦しいわけではないと捉えるようにしましょう。
弱みを見せることは悪いことではないと捉え、思い切って他者を頼ってみる
悩みを相談することが苦手な方の中には、明るく社交的で友人や知り合いが多い方もいます。
普段は明るく、仕事もバリバリこなしている。また、どちらかというと、悩みを相談される立場であるという方ほど、自分が相談を持ちかけることが苦手であったり、しみついてしまった自分のキャラクターを拭い去れないということもあります。
いつもと立場が逆転したからといって、周囲に失望されるようなことはありません。
時には、思い切って他者を頼ることも大切です。
こんな時は相談することを考えよう!相談すべき心の10個のサイン
- 憂鬱な気持ちやイライラが継続し、気持ちを切り替えることができない
- マイナスな出来事や発言を繰り返し思い出してしまう
- 不安感や焦り、悲しみに襲われ、心が落ち着かない
- 自分に対して過剰に罪悪感を感じる
- 他者に対する心の引っ掛かりが、いつまでもこびりついてはずれない
- 全体的にエネルギーが低下し、集中力が続かずやる気も起きない
- 目覚めや寝つきが悪く、深く眠れない
- 食欲がなくなった
- 頭痛や腹痛のような身体症状が続く
- 自分に対して無価値感を感じ、孤独感に襲われる
どうしても相談できる人がいない時の3つの解決策
悩みや自分の感情を紙に書き出してみる
生活をする上で、悩みやストレスが生じること自体は自然なことですが、それらを外に吐き出すことができないことは問題で、心の不調につながります。
相談する相手がみつからない場合、とにかく自分の感情を吐き出すつもりで、紙に思いの丈を書き出すことも、心の整理には有効です。
その際、誰に見られるわけでもないので、きれいな文章にまとめようとする必要もありません。内面からわき出てくる言葉を書き出していくことにより、心が軽くなったり、頭の中や心の中が整理がされることもあります。
インターネットで悩みを検索してみる
自分の周囲に、自分の悩みや状況を理解してくれる人がいない・相談できる相手がいないと感じている方は、インターネットで自分の悩みの原因になっているワードを入力し検索してみるのも良いでしょう。
思いのほか、同じようなことに悩み、苦しんでいる人の投稿がみつかることもあります。
また、そのような悩みや問題の解決のためのアドバイスやアイディアがみつかり、視野が広がり、心が軽くなることもあります。悩んでいる時こそ、視野を広げることが大切です。
心理学について学んでみる
どうしても他者に悩みを相談することはできないから、自分で自分のことを理解しながら問題を解決していきたいという方は、心理学を学んでみることも一つの手段です。
心理学を学ぶことで、自分の心のパターンや、他者の心理なども少しずつ理解できるようになり、無意識に振り回されていた状況から抜け出し、自分や他者を客観的に見ることが可能になります。
時間はかかりますが、自分を守るためにも、知識を取り入れ学びを深めることは大切です。
【相談する人がいない】まとめ
私たちは、複雑化した現代社会の中で生きているため、誰しも多かれ少なかれストレスや悩みを抱えています。
一人で悩み続けていると、悩みがどんどん肥大化し、視野が狭くなり、自分一人だけが苦しんでいるような気持ちに陥ってしまうことがあります。しかし、少し外に目を向けると、同じように悩んでいる人は自分以外にもたくさんいます。
そして、悩んでいる人に手を差し伸べようとしてくれている人も、同様にたくさんいるのです。
下に向けていた視線を少し上にあげるだけで、親身に相談に乗ってくれる相手がみつかるかもしれません。
そのため、心が苦しいときは自分一人で苦しまず、一歩足を前に踏み出し、誰かに相談を持ちかけるようにしましょう。
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