「子どもが可愛いと思えない」「一緒にいるのが苦痛」そんな気持ちを抱えている自分に、強い罪悪感を抱いていませんか?
母親である以上、子どもを愛さなければならない。そう思い込んでいるからこそ、「母として失格ではないか」「毒親なのかもしれない」と、自分を責めてしまう方も少なくありません。
しかし、子育ては感情の連続です。時にはイライラし、嫌悪感すら湧くこともあるのが現実です。
本記事では、子どもを好きになれない母親の心理と、その背景にある心の葛藤について深掘りしながら、罪悪感との向き合い方を解説します。自分を責めすぎず、少しでも楽になるヒントを見つけていただければ幸いです。
子どもを好きになれない母親の心理とは?
子どもを好きになれない気持ちは、「母親としておかしい」というよりも、むしろ“人として自然な感情”であることも多いものです。以下では、代表的な心理的背景を紹介します。
完璧な母親像とのギャップに苦しんでいる
世間が求める「理想の母親像」と、自分の現実とのギャップがあると、「私は母親として失格なのではないか」と自責の念に駆られやすくなります。
とくにSNSなどでは、育児を楽しんでいるように見える投稿や、子どもと仲睦まじく過ごす写真があふれています。それらと自分の現実を比べてしまい、「どうして私はあんなふうに思えないのだろう」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。
自分の時間が奪われることへのストレス
子どもが生まれると、自分の時間や自由が極端に制限されます。特に働く母親の場合、心身ともに余裕がない中で家事や育児をこなす毎日は、想像以上に負荷がかかります。
休日すら休めない、ひとりの時間がほとんどない、そんな毎日が続くと、「どうして私ばかり…」という不満が積もり、次第に子どもに向けたネガティブな感情となって表れてしまいます。
子どもに自分の嫌な部分を重ねてしまう
子どもは親に似るものです。だからこそ、無意識のうちに「自分の嫌なところ」と似た部分を子どもに見つけると、拒絶感が生まれやすくなります。
それは、過去の自分に対する否定の気持ちを引きずっている場合もあります。自己肯定感が低いまま親になった方ほど、子どもの性格や行動に自分を重ね、「直してあげなければ」と過剰に反応してしまうことがあるのです。
自尊心を保てない関係性になっている
子どもが反抗的だったり、こちらの努力を認めてくれなかったりすると、「こんなに頑張っているのに…」という虚しさや怒りがわいてきます。
「ありがとう」の一言すらない日々が続くと、母親としての自信は失われ、自尊心が削られていきます。それが「嫌い」という感情に変わってしまうのは、決して不思議なことではありません。
子どもに嫌悪感を抱いてしまう具体的な理由
ここでは、「なぜ自分は子どもを嫌いと感じてしまうのか」について、より具体的な場面をもとに考えていきます。
マナーや態度の悪さが許せない
食事の際に茶碗を持たない、肘をつく、挨拶をしない。こうしたマナー違反が日常的になると、それだけで「もう顔を見たくない」と思ってしまうこともあります。
とくに、自分が礼儀やマナーを重んじて育てられた方は、こうした行動に強く反応しやすい傾向があります。「こんな態度のまま大人になったらどうするのか」と不安になり、過干渉になってしまうケースも見られます。
自慢話や虚勢に嫌悪感を抱く
根拠のない自信過剰や自慢話を繰り返す子どもに対して、「なんでこの子はこんなに勘違いしているのか」と感じることもあるでしょう。
親の目から見て「現実とズレている」と感じる子どもの発言が繰り返されると、無性に腹が立つこともあります。「あんな人間になってほしくない」という不安が、嫌悪感へと変化している可能性もあります。
会話がかみ合わず、心が通わない
思春期に入ると、子どもとの会話がうまくかみ合わなくなり、「何を言っても無駄」と感じてしまうことが増えます。自分の気持ちをまったく理解されないとき、親は強い孤独感に襲われます。
とくに、「聞いてほしい」「わかってほしい」と願う気持ちが強いほど、その願いが叶わないときの落差は大きくなります。それが「一緒にいたくない」「関わりたくない」といった感情につながっていくのです。
家の中で心が休まらない
家庭が「安心できる場所」ではなくなっていると、そこにいる子どもに対しても嫌悪感を抱きやすくなります。
「ただいま」と言った瞬間にため息が出る。「もう話しかけられたくない」と思ってしまう。それは、あなたが限界に近づいているサインかもしれません。
子どもを好きになれない罪悪感との向き合い方
「母親なのに、子どもを好きになれないなんて…」という罪悪感に苦しんでいる方へ。以下のような視点を持つことで、自分の心を少しずつ癒やしていくことができます。
感情に良し悪しをつけない
「子どもを好きになれない」と感じる自分に罪悪感を抱く必要はありません。感情そのものには善悪がなく、それをどう受け止めるかが大切です。
つらいときには「今、自分はつらい」と認めること。それだけでも心の緊張は和らぎます。無理にポジティブに振る舞おうとしないでください。
誰にも話せない気持ちを外に出す
本音を話せる相手がいると、それだけで気持ちは軽くなります。しかし、家族や友人に打ち明けるのが難しい場合もあるでしょう。
誰にも話せず孤立してしまうと、負の感情が増幅されていきます。一人で抱え込まず、専門家の助けを借りることは、弱さではなく「自分と子どものための選択」です。
「理想の母親像」を手放す
「いつも優しく、子どもを愛している母親でなければ」という思い込みを捨ててください。完璧な親などいませんし、感情を押し殺して無理に演じるほど、心はすり減っていきます。
あなたのペースで、あなたなりの子育てをしてかまわないのです。「こうあるべき」に縛られず、あなた自身の心をまず大切にしてあげてください。
「母」としてでなく「人」として向き合う
子どもと自分の関係を、「母親と子ども」という立場ではなく、「人と人」として見つめ直すと、少し距離がとれて冷静になれます。
「この人とは少し合わない」と思うことがあっても、それがすべてではありません。長い目で見て、関係が少しずつ変化していくことを信じてみてください。
子どもを無理に「好き」になろうとしない
子どもを好きになろうと無理に努力することで、かえってストレスや罪悪感が強くなる場合もあります。以下の視点で、自分の心を守ることを意識してみましょう。
「嫌い」と感じることを否定しない
「子どもが嫌い」と感じることは、決して非常識ではありません。むしろ、自分の感情に正直であることは、健全な自己理解の一歩です。
どんな感情も、あなた自身の経験や環境から生まれた“理由のあるもの”です。まずは「そう感じてもいい」と許可を出すことから始めましょう。
心の距離を適切にとる
感情が高ぶっているときは、少し物理的・心理的な距離を取ることも大切です。
家族と協力して、一人で外出する時間をつくったり、別の部屋で過ごしたりするだけでも、気持ちが安らぎます。
感情を冷静に観察する習慣を持つ
「今、私はなぜイライラしているのか?」「この感情は本当に子どもに向けたものなのか?」と、一歩引いて自分の気持ちを観察する練習をしましょう。
多くの場合、そのイライラの根っこには「誰にもわかってもらえない」「頑張っても報われない」といった気持ちが潜んでいます。
長期的な目線で親子関係をとらえる
今うまくいかないからといって、将来もずっとそうとは限りません。子どもが成長し、自立していく中で、親子の関係も少しずつ変わっていきます。
「今だけがすべてではない」と信じることで、今の苦しさにも少し耐性がつくかもしれません。関係は、時間と共に少しずつ変化していきます。
まとめ:あなたの気持ちを理解し、前に進むための第一歩を
「子どもを好きになれない」という感情は、誰にでも起こり得る自然な心の反応です。
そのことで自分を責め続ける必要はありません。
母親だからといって完璧である必要はありませんし、「好き」という気持ちがない瞬間があっても、それがあなたのすべてではありません。
まずは感情を否定せず、正直な気持ちを受け止めること。そして、必要であれば、誰かの力を借りて心の内側を整えることが、健やかな親子関係への一歩につながります。
誰にも話せず、ひとりで悩み続けている方へ
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自分ひとりで抱え込まず、まずは話してみませんか?
あなたの気持ちが少しでも軽くなるよう、私たちが寄り添います