あなたは職場やプライベートで「生きづらさ」を感じていませんか?メディアやSNSなどで「HSP」という言葉を耳にされた方も多いと思います。
その「生きづらさ」は「HSP」気質によるものかもしれません。
この気質に生まれついた人は、五感が鋭く脳神経が過敏に反応することで、周囲からの刺激をより敏感に感じ取る性質があります。いわゆる「繊細な人」です。
そのため、人の何気ない言葉に深く傷ついたり、周囲の人の感情に振り回されたり、音や光、においなどに敏感に反応して不快な気持ちになったりなど、生きづらさを感じる傾向にあります。
しかし、その「繊細な人」は前向きにとらえれば、長所や才能に生まれ変わります。
自分の気質と向き合い、周りの環境も含め、社会全体がHSPへの理解が深められれば「繊細な人」の悩みは少なくなり、むしろポジティブな要素としてなるかもしれません。
この記事では、HSP・HSE・HSS型HSP・HSS型HSE・HSCなどについて見ていきましょう!
HSP(ハイリーセンシティブパーソン)とは?
「HSP」とは、「Highly Sesitive Person」の頭文字を取った呼び名で、直訳すると「非常に繊細な人」という意味になります。
これは生まれ持っての気質で、人よりも五感が鋭く、脳神経が過敏に反応することで、周囲からの刺激をより敏感に感じ取ってしまいます。
「HSP」とは病名ではなく生まれ持っての気質でエイレン・アーロン博士が名付け親としていわれています。
この気質をもっている人は一歩社会にでるだけで、人間関係や周囲の環境から膨大な刺激を受け取り、さまざまな生きづらさを感じてしまいます。
病名ではないので治療法こそないものの、HSPを知ることで生きづらさは軽減していきます。
「繊細な人」は生まれながらに備わった生きるために必要な特別な力にもなり、長所にもなります。
HSP診断について
診断とは「医者が患者を診察して病状を判断すること」を言います。
HSPを紹介する記事の中には診断チェックできる内容が含まれているものもありますが、信憑性が低いものもあります。
ネットにあるセルフチェックは医師が監修していないケースが多いため、あくまでセルフチェックとして捉え、信用できる情報を詳しく知りたい場合は心の専門家に聞いてみるのが良いでしょう。
HSPに当てはまっているなという方はこちらの記事もオススメです。
【HSPあるある20選】音が苦手…繊細さんが仕事や学校で感じることまとめ
HSPに4種類のタイプが存在する?
HSPを含め、HSP・HSE・HSS型HSP・HSS型HSEの4種類があります。
- 繊細 + 刺激を求めない + 内向的=HSP
- 繊細 + 刺激を求める + 内向的=HSS型HSP
- 繊細 + 刺激を求める + 外向的=HSS型HSE
- 繊細 + 刺激を求めない + 外向的=HSE
それぞれがどんなものであるか、自分や周りの人はどれに該当しているかなど、HSPの種類はどんなものがあるかを見ていきましょう。
HSE(ハイリー・センシティブ・エクストロバート)とは?
自分を出すのが上手・人と関わりたい・中心人物になったことがある・必要とあれば人前に出るという事が特徴にあげられます。
例えば『生徒会に立候補する』『幹事を積極的に引き受ける』などがあります。
団体競技でも力を発揮しやすいと想像できます。
このように、実生活レベルまで社交性を落として考えます。しかし、刺激が少なすぎることが不安材料となるなど、退屈な空間だと逆に疲れてしまう恐れもあります。
HSEの特徴
- 人と関わることが好き
- 人と関わる仕事に就きたい又は就いている
- なんでもやってみたい
- 見たことのないものを見たい
- 経験したことのないことを経験したい
HSPとHSEの違い
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)は「感受性が非常に高く、繊細な気質を持った人」という意味であり、HSE(ハイリ―・センシティブ・エクストロバージョン)は「外交的な活動が好きという気質を持った人」という意味です。
HSPとHSEの似ている点は外部からの刺激に対して非常に敏感な所です。
どちらの性格も刺激を受けたことに対しての疲れやストレスがでてくる点は共通してあります。ただし、HSEの場合、そのストレスに対して敏感であるけれど、外向的な性格上刺激を求めずにはいられないという点があげられます。
HSS型HSPとは?
HSSの特徴は理解できたと思いますが、近年の研究で、実はHSP気質の人の中にもHSSがいるということが分かってきたのです。
HSPの特徴は、感受性が強く、外部からの刺激に対して非常に敏感な人々を指します。他人の言動がいつまでも頭から離れなかったり、人混みが苦手だったり、個人差はあれ内向的で静かな環境を好みます。
HSS型HSPとは、「外部からの刺激に対して非常に敏感だけど、刺激を求めずにはいられない」といった矛盾を抱えた存在なのです。
HSPの約3割がHSS型
HSPを提唱したアーロン博士の研究によれば、HSP気質を持つ人の約30%がHSS型HSPにあたると言われています。
HSPは人口の約20%程度と言われているため、HSS型HSPは人口の約6%になります。AB型・左利きの人口が約10%であるとされているので、比較的に少数であるといえます。
HSS型HSPの特徴
- 刺激を求めるが、刺激に敏感で疲れやすい
- 新しい物好き
- スリルを求める
- 一人旅や海外旅行が好き
- 新しい習い事にも全力投球
HSPとHSS型HSPの違い
HSP=内向的ではないし、HSS=外向的でもない
現在、一般的に「HSP」と語られる場合、その内容の多くは「HSP=内向的なもの」として語られています。
また同様に、HSS型HSP(もしくはHSS)について語る場合、その内容は「HSS=外向的なもの」として語られることが多いようです。しかし実際には、HSPの中で内向的な人は70%と言われています。つまり、30%の人はHSPでありながら外向的な性質を持っているのです。
ちなみに、外向的HSPのことをHSEと言います。内向的と外向的の違いを簡単に言うと、人(外)と関わることに楽しみを見出すかどうかが挙げられます。
そしてもちろん、「内向的HSPのHSS型」もいれば、「外向的HSPのHSS型」もいることになります。よくある誤解として、「外向的なら非HSPなのではないか」というものがありますが、これは必ずしもそうとは言えないようです。
HSS型HSEとは?
HSS型HSEの特徴
- 外交的なHSP
- ・人と一緒にいることで体力が回復する傾向がある
- ・人から頼まれた役職やリーダーを任されやすい
- ・自分の気持ちを声に出して表現することがある
- ・人と一緒に何かを協力してすることが多い
HSPとHSS型HSEの違い
まだHSP(特にHSE)の情報は不確定なことが多いことですが、HSPが「繊細な人」としたら、HSS型HSEは、同じ「繊細な人」であるけれども、外向性・刺激追求型という要因が高いという事が含まれています。
本来、内省的で優しく穏やか、共感力があって創造的で先見性があり、熱心で洞察力が鋭いのが特長なので、思いやりからくる強い信念から職場では役職を任されることがあります。
HSCについて
HSC(Highly Sensitive Child) ハイリー・センシティブ・チャイルド=「繊細な子ども」
HSPが「繊細な人」に対してHSCは「繊細な子ども」です。
「繊細な子ども」は「発達障害」と似たような気質も多く、混同される場合もありますが、相違点もたくさんあります。
例えば、HSCの子どもは人間関係の構築が苦手といわれる発達障害と似た症状がたくさんあります。例えば心配事があるとくよくよ悩む、大きな音が苦手、特定の事に才能を発揮、妙に神経質など。
しかし、HSCの子どもは空気を読み過ぎる、片付いてないと落ち着かない、細部まで注意深いが強い刺激があって気になる場合は不注意になることもあり、衝動的にはならない、人の気持ちがわかるという相違点もあるため、子どもと悩みを共有し、悩みを共感しましょう。
その結果、HSCの気質は目立たなくなる場合もあります。
HSCの特徴
- 空気を読み過ぎる
- 片付いていないと落ち着かない
- 細部まで注意深いが、強い刺激があって気になる場合は不注意になることもある
- 衝動的にはならない
- 人の気持ちはわかる
HSP・HSE・HSS型HSP・HSS型HSEと上手く付き合っていくための5つのポイント
自分自身の強みと弱みをしっかり把握し、上手に付き合っていくことで、より魅力を伸ばして楽に生きることができます。
自分がどこに分類されるか以上に大切なのは、自分自身の特性を知ることであり、自分に合った疲れを軽減する方法、楽しく過ごせる方法を理解しておくことが大切です。
それでは上手く付き合っていくためのポイントを確認していきましょう。
- セルフコントロールをする
- 人と一緒にいることで体力を回復する
- リーダー等の役職や仕事分担を上手に行う
- 人と一緒に何かをする時も自分のペース配分を理解しておく
- 何かにチャレンジしたいときは、常に自分と相談し手決める
①セルフコントロールをする
繊細な気質があるが、仕事もプライベートも全力で頑張ってしまう傾向があるため、ペース配分を工夫しうまく「自分」という手綱を引いていく工夫が必要です。
知らず知らずのうちに体がストレスで満たされたくなっている可能性があります。
気が付いたら突然起き上がれなくなって仕事に行けなくなったり、精神疾患に発展したりする場合もあるので、こまめにストレスを解消し、適度に休むことも必要です。
②人と一緒にいることで体力を回復する
刺激に弱いのに刺激を追い求める特性上、刺激追求型HSPは「繊細な人」以上に長い休みが必要になります。
適度に休まなければ体が持たないため、休む時間、休む日を決めたり、予定のない日をつくったりするなど、意図的に休む習慣を「休息」に対して自分なりのルールとして決めておきましょう。
グループのみんなで集まって話すことは日々の鬱憤を解消しているようですが、逆にみんなでいることでストレスになる傾向もみられます。グループの話題に疲れたと感じたら、少し距離をとって、無理して周囲に合わせる環境であれば、居心地がいいとは言えないため、少しずつ自分を出していく工夫をしてみましょう。
③リーダー等の役職や仕事分担を上手に行う
刺激を追い求める欲求は我慢しないでいいですが、新しいことや仕事の企画に積極的にチャレンジしたり、プロジェクトリーダーや役職を任されると頑張りすぎるため疲れがたまって突然仕事に行けなくなり、長期休暇を取る場合も見られます。
刺激に触れることとストレスケアはセットで予定に組み込みましょう。
また、行動を制限することや、行動しないことがストレスになる場合もあります。そのような場合は、早めに上司や同僚と相談し一人で抱え込まずに周りを巻き込んで、負担を共有し問題解決を図りましょう。
④人と一緒に何かをする時も自分のペース配分を理解しておく
本来の自分は「繊細」であることを自覚しましょう。
刺激を受けるのが好きな刺激追求型HSPは、繊細ではない人と同じように行動しすぎると疲弊します。
まずは本来の自分が「繊細な人」であることを自覚して、自分がどんな刺激に弱いのかしっかり分析し、事前にガードしたり、ケアをする工夫をしましょう。
人と一緒に何かをすると、時に人のペースに自分が巻き込まれて疲れてしまうことがあります。本来の自分に「繊細さ」があることを自覚し、自分がどんな刺激に対して弱いのかを知ると良いでしょう。
⑤何かにチャレンジしたいときは、常に自分と相談し手決める
刺激追求型「繊細さん」は刺激を好み自らキャッチしに行く傾向にあります。
「HSP」と同じように刺激に対するアンテナが張り巡らされ、感度が高いだけでなく、自ら刺激を追い求めて探しに行ってまでキャッチしようとしています。
刺激に弱いのに刺激を追い求める特性上、刺激追求型「繊細な人」は他の人よりも休息が必要な時があります。
休む時間、休む日を決め、意図的に休む習慣をルールとして決めていた上でチャレンジ精神旺盛な所は大いに出してメリハリを大切にしましょう。
HSPさんは周りに気を使うことが多く、疲れ切ってしまうこともあります。
限界が来る前に心の専門家に相談することもオススメです。