コーチングとカウンセリングは、一見似ている言葉ですがその機能や役割が全く異なります。
ここをしっかりと理解したうえで活用しなければその効果を最大限に発揮することはできません。
コーチングとカウンセリングのメリットやデメリットも知り、自分はどちらを活用すべきかを知っていきましょう。
カウンセリングとコーチングについてまずは正しく理解しよう!
カウンセリングかコーチング、どちらを受けようか悩む方にまず行ってほしいのが、カウンセリングとコーチングの違いを正しく理解することです。
カウンセリングとコーチングでは何が違うのか、まずは、これらを正しく理解していきましょう。
カウンセリングとは?
厚生労働省ではカウンセリングを「相談」「助言」といった意味合いを持つものとしています。
クライエントや患者が困っていることや悩んでいることを専門家との会話や対話を通して解決または自己受容あるいは自己変容していくもの。
引用:厚生労働省 | e-ヘルスネットカウンセリング | / 心理療法(かうんせりんぐ / しんりりょうほう)
そのため、カウンセリングとは主に、医師やカウンセラーといった心の分野の専門家がカウンセリングを必要とする方の話を聞いて、専門家という立場から必要となる指導や援助を行うものとなるのです。
コーチングとは?
コーチングとは答えを提示するのではなく、自分で答えを作り出せるようにサポートをすることをいいます。
コーチングでは、その人のなかに既に答えがあるとしています。
答えがあるけれど気づいていないという方に向けて、コーチングを行いその答えを引き出して、納得したうえで、その可能性を最大限に活かしていけるようにサポートしていくのです。
(補足)セラピーとは?
カウンセリングと少々混同されやすいのがセラピーです。セラピーとは、日本語で「治療」や「療法」という意味があるものの、これは薬や手術を行わないものとです。
例えばアロマの力を使ったり、話を聞いて精神的な負担を軽減させたりします。精神的な負担軽減となるとカウンセリングと聞くと混同しやすいのですが、あくまでセラピーは精神的な負担を軽減させるものなので、根本的な解決には至りません。
カウンセリングとコーチングの違いは?
カウンセリングとコーチングがどのようなものかが大体わかったところで、カウンセリングとコーチングにはどのような違いがあるのかについてを詳しくご紹介します。
カウンセリングとコーチングには、次のような違いがあります。
受ける人の状態
カウンセリングを受けようと考える人の状態には実は大きな違いがあります。
まず、カウンセリングを受けようと考える人は、解決したい・相談したいと思う悩みがある状態や、心が弱っている状態と考えても良いでしょう。
そのため、カウンセリングを通して悩みのことを話したり、弱ってしまった心を正常の状態に戻すのがカウンセリングと考えると良いでしょう。
一方で、コーチングは最初の状態では心は安定しています。この安定した状態から、目標としているところにまで到達させるのです。
そのため、受ける人の状態はカウンセリングとコーチングでは違いがあるといえるでしょう。
実施者の違い
コーチングの資格は民間資格が多く、カウンセリングと比べるとエビデンスの高いものではありません。
中には資格を取っていなくてもコーチングができてしまうこともあります。特に自分自身になにかしらの実績があった場合には、資格が無くてもコーチングを依頼されることもあります。
一方カウンセリングは厚生労働省でも、医師や心理カウンセラーなどの資格職が行うことを推奨しており、臨床心理士や公認心理師の資格をもっていなければできないということもあります。
臨床心理士や公認心理師のもと、一定のエビデンスや学術に基づいた相談ができるのもカウンセリングの特徴の一つです。
この実施者の違いもカウンセリングとコーチングの違いになるのです。
ただSNSやネット上でのカウンセリングの中にも、大学で学んでいない・資格を持っていないカウンセラーもいるため注意が必要です。
焦点が違う
カウンセリングとコーチングの違いは、これらが向けている焦点も異なります。
カウンセリングは「過去」から「現在」「未来」に目を向けて、悩みの解決や心の状態を回復していくことに焦点を向けています。一方でコーチングは、今の状態からさらに上を目指していくことに焦点を向けています。
コーチングは「未来」を重視し、コーチがなりたい自分の望ましい未来や在り方に近づくためにサポートします。
一方でカウンセリングは、心の問題を解決するためにカウンセラーとの対話の中で「悩みを生み出す過去のできごと」を見つけ直します。また、カウンセリングの手法は無数にあり、行動変容を促すものなど「いま」以降にフォーカスしたものも多く存在します。
カウンセリングとコーチングの主な違いは、カウンセリングは過去に焦点を当てているのに対し、コーチングは現在と未来に焦点を当てていることです。
カウンセラーは何をすべきかについてアドバイスやガイダンスを提供しますが、コーチは提供しません。カウンセリングは「なぜ」に取り組み、コーチングは「どのように」に取り組みます。コーチングは行動志向であるのに対し、カウンセリングは対処志向ということです。
【参考】
Counseling vs. life coaching
What’s the Difference Between Coaching and Therapy?
実施する流れが違う
カウンセリングはとにかく話を傾聴していき、最終的には自分で自分の心の状態に気づく、いわゆる問題解決を促します。
インテークを行い、現状を把握し理想の明確化とギャップの明確化をしたうえで、行動計画を立てていきます。
一方で、コーチングは最終的に目標の達成を促していきます。そのため目標を明確化してから現状を把握しギャップについても明確にしてから行動計画を立てていきます。
金額が違う
カウンセリングとコーチングでは金額も異なります。
国家資格者が関わっているからカウンセリングの方が料金が高いのでは?と思われるかもしれません。
実はカウンセリングは、厚生労働省をはじめとして国が「治療の一環」として認めているということもあり、金額は安くなります。行政がかかわっているカウンセリングであれば無料で受けられます。保険適用外の相場も5,000円〜10,000円となります。
一方、コーチングは相場が1~3万円程度でなかには数十万円かかることもあります。特に名があるコーチからコーチングを受けると、価格はどんどん上がっていくのです。
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カウンセリングを受けるメリットとデメリット
カウンセリングとコーチングにはそれぞれメリットとデメリットがあります。これらを理解していくことで、カウンセリングとコーチングどちらか自分に合っているのかを知ることができます。まずは、カウンセリングのメリットとデメリットを知っていきましょう。
カウンセリングを受けるメリット
カウンセリングを受けるうえでのメリットは次の3つになります。
メリット①:思考の整理ができる
カウンセリングは自分の悩みや思いを話せるため自分の思考が整理しやすい環境となります。
思考を整理して自分の現状を知ることは、次のステップに進むためにも非常に重要です。
自分の話を心の専門家にじっくり聞いてもらえるという点はカウンセリングを受けるメリットになるでしょう。
メリット②:病気かどうかが分かる
2つ目は今の自分の状態が病気によるものかどうかが分かるという点です。
精神的に不安定だったり、鬱々(うつうつ)していたりすると自分は実は病気なのではないかと志向がネガティブになってしまいがちです。
カウンセリングは国家資格を所有している専門家によって行われることが多いので、自分の心の状態が病的なのかどうかの判断および正しい退所へとつなげていくことができるのです。
メリット③:最後は自分で決めることができる
カウンセリングは自分で自分の悩みに気づき、自分で今後どうしていくかの課題解決方法を見出します。そのため、誰かに自分の思考や行動について指示を受けることはありません。
ここをメリットとしてとらえている方が多く、人に指示や指摘をされないので安心して相談をしやすくなります。
カウンセリングを受けるデメリット
カウンセリングを受けるにあたり、メリットだけでなくデメリットもあります。
カウンセリングを受けるデメリットは次の通りです。
デメリット①:正直まだまだ受けていることは言いづらい
最もデメリットに感じられるのがカウンセリングを受けていることを周囲に話しづらいという点です。
日本ではまだまだカウンセリングに対してマイナスなイメージを持たれやすく、「カウンセリングを受けている=心の弱い人」と捉えられることもしばしばあります。
海外では、カウンセリングは治療ではなくメンテナンスと捉えられることが多く、比較的カウンセリングを受けていることをオープンにする方が芸能人なども含めて多いです。
マイナスなイメージで受け取られやすく周囲に話しづらいという点がデメリットになります。
デメリット②:カウンセラーから具体的な指示があるわけではない
カウンセリングはこれまでもお話ししてきたようにあくまで問題の解決を目的として自分で自分の心の状態に気づいて、自分で解決方法を見出さなければなりません。
そのため、せっかくお金を払ってカウンセリングを受けたのに何1つ具体的なアドバイスがもらえなかったと不満に感じる方も少なくありません。
カウンセリングの主な目的を理解しないままカウンセリングを受けることで、何もアドバイスをもらえなかったことをデメリットと感じるケースがあります。
デメリット③:カウンセラーとのミスマッチが発生することもある
カウンセリングを受ける時に起こりやすいのがカウンセラーとの相性の問題です。
有名なカウンセラーあるいは、評価の高いカウンセラーがすべて自分と相性が良いとは限りません。相性が悪い場合には、カウンセリングを受けていて疲れてしまうこともあります。
カウンセラーとの相性の問題もデメリットになるでしょう。
「Kimochi」では、悩みや時間などから自分に合ったカウンセラーを見つけることができます。
コーチングを受けるメリットとデメリット
コーチングを受けるうえでもメリットとデメリットがあるので、ここを理解してからコーチングを受けるかどうかは検討していくことがおすすめです。
コーチングを受けるメリットとデメリットは次の通りです。
コーチングを受けるメリット
まずは、コーチングを受けるメリットについてご紹介します。コーチングを受けるメリットは全部で3つあります。
メリット①:思考が明確化する
コーチングを受けることで自分の思考が明確化されるという点が最大のメリットです。
さらに、思考が明確化されるというだけですと、カウンセリングと同じなのですが、具体的な行動に移せるようになるという点もコーチングの魅力といえます。
特にコーチングは最終的に行動に移すという点を重視しているため、行動に移せるようになるというのは最大のメリットといえるでしょう。
メリット②:目標達成までのサポート
コーチングは、サポーターとしての意味合いを持ちます。そのため、1度のコーチングで終わるのではなく目標が達成できるまで定期的にコーチングをしてもらえます。
達成したい目標はあるけれど1人では目標達成させるのが難しい、定期的に誰かにサポートをしてほしいという方にはコーチングを受けることで、目標達成というメリットが得られるのです。
メリット③:具体的な目標設定
目標をいざ設定してもその目標の達成を時にはあきらめなければならなかったり、具体的な目標の達成日までに達成できないこともあります。
しかし、コーチングは目標達成日を明確にしたうえで、行動計画を立てるので自分が目標を達成したいと思ったタイミングに目標が達成できます。さらに、それよりも早く目標が達成できるのでこれまで計画を立てたけれど具体的な目標達成に至らなかったという方にとってはメリットになるのです。
コーチングを受けるデメリット
コーチングにもメリットだけでなくデメリットがあります。ここからはコーチングを受けるうえでのデメリットをご紹介します。
デメリット①:必ず目標達成できるわけではない
コーチングを受ければ必ずしも目標が達成できるわけではありません。自分の中の目標が明確でないことや、コーチが目標そのものをしっかり理解できていない場合に起こります。
コーチングを受ければ誰でも目標達成できる、夢がかなうと思うかもしれませんが、100%実現できるわけではないという点を抑えておきましょう。
デメリット②:国家資格など公的に認められたものはない
カウンセリングと同様にコーチングも人の合う、合わないの問題はあります。特に、コーチングはその人にアドバイスや指示を出して、思考に踏み込むため、相性が合わない場合、相当な精神的な苦痛が起こります。
コーチングこそ、人の相性に着目して選ぶべきといえるのです。
また、コーチングにおける資格は国家資格など公的に認められたものはなく、民間資格のみとなっているため、カウンセリングに比べて信頼性が劣ってしまうこともあります。
コーチを行っている方の中にも資格を持っていない方もおり、注意して選ぶ必要があります。
デメリット③:カウンセリングよりも高いことが多い
前述したようにコーチングはカウンセリングと比較してもかなり費用が掛かります。そのため、目標達成のために定期的にコーチングを受けたいと考えた場合には費用がかなりかかるものと考えておきましょう。
費用がかなりかかってしまうという点はデメリットになってしまいます。
カウンセリングを受けるべきなのはこんな人
カウンセリングを受けるべき人はどんな人なのかについて詳しくご紹介します。
自分はカウンセリングを受けるべき状態なのかどうかと悩まれている方は以下をチェックしてみましょう。
身近に相談できる人がいない
両親や友人、家族など身近に気軽に相談できる人がいない場合にはカウンセリングを受けてみるのがおすすめです。なかには、気軽な相談はできるけれど深い悩みは相談できないという方もいらっしゃるかもしれません。
身近に相談できる相手がおらず、悩みを抱えて過ごされているという方は、カウンセリングを活用してみましょう。
人間関係で悩んでいる場合、なかなか人には相談しにくいものです。
カウンセリングでは、特に人間関係による悩みの相談を強みとしているため、特に人間関係で悩んでいるという方には活用していただきたいものです。
信頼できるカウンセラーに相談できる
精神的な負担がある、なんだかもやもやするけれどこれって病気?と悩む方もいらっしゃるかもしれません。でも、病院は敷居が高いと考える方におすすめなのがカウンセリングです。今の心の状態は医療機関にかかるものなのかを国家資格を持ったプロが判定してくれるという点も魅力といえるでしょう。
Kimochiのカウンセリングは、信頼できるカウンセラーが登録しています。また、悩みや今の暮らしに対し寄り添いながら一緒に考えていきます。
過去から現在、未来について見つめることができる
カウンセリングではコーチングとは違い、過去を見つめ直すことで主訴の背景、人間関係などを紐解いていきます。
過去を見つめ直すことで、現在の悩みの解決に繋げ、より良い未来を模索していきます。
コーチングを受けるべきなのはこんな人
カウンセリングではなく、コーチングを受けようと悩んでいるという方もいらっしゃるかもしれません。
コーチングを受けるべき人についてご紹介します。
挑戦したいことや達成したい目標がある
コーチングの最大のテーマとなるのが目標です。
何か目標があるけれど自分ではどうしていいのかわからないという方、誰かのサポートが欲しいという方はコーチングを受けられるのがよいでしょう。
好きなことを見つけたい
目標は現時点ではないけれど、目標にできることを探している、好きなことを見つけて人生を豊かにしていきたいと考えている方はコーチングがおすすめです。
何も考えていない状態でコーチングを受けたとしても、受け終わったころには具体的な目標や好きなことが見つかるかもしれません。さらに、それについてサポートしてもらえるのも魅力といえるのです。
今後の自分のビジョンについて悩んでいる
自分の現状はわかっているけれど、今後どうしたらいいのか悩んでいるという方にもコーチングはおすすめです。
周りの人がキラキラして見える、自分もキラキラしていきたいけれどどうしていいのかわからない、今後自分はどうやって成長していけば良いのかが分からないという方にはコーチングはおすすめです。
自分で事業をしていたり、働いていたりする方だけでなく、専業主婦や学生、仕事をリタイアした方誰でも、今後のビジョンについて悩んでいるという方はコーチングの対象になるのです。
カウンセリングとコーチングどちらを活用するか悩む方へ
カウンセリングとコーチングどちらを活用するべきか悩まれている方へここでは、チェックすべきポイントをご紹介します。
ここを確認したうえで自分にマッチしている方を活用してみましょう。
自分の現状を変えたいと思っているかどうか
目標達成したいのであればコーチング、現状を変えるだけではなくまずは自分の心の状態を整理したいと考えるならばカウンセリングを選んでみましょう。
自分の現状をどうしたいのかを選ぶ指標にすると自分にマッチしているのがどちらであるのかが分かります。
話を聞いてほしいのか明確なアドバイスが欲しいのか
カウンセリングはあくまで心の整理をしつつ、自分で自分の心の状態に気づくものです。
ほとんどのカウンセラーは悩みや問題に対して、話を聞いた上でアドバイスを言うこともありますが、最終的な決定は自分自身に委ねられます。話を聞いた上で寄り添ってサポートしてほしいのであれば、カウンセリングがオススメです。
明確なアドバイスが欲しい、伴走をしてほしいと考えるならばコーチングがおすすめです。
カウンセリング→コーチングという活用もアリ!
カウンセリングとコーチングはどちらかしか活用できないというわけではなく、カウンセラーやコーチに確認した上で、併用しても良いのです。
例えば、自分が落ち込みやすい、傷つきやすいという性格ならばまずはカウンセリングで心の状態を落ち着けて、それからコーチングを受けて飛躍していくというのもOKです。
どちらかしか使ってはいけないということではないので、自分の心の状況に応じて使い分けてみましょう。
またKimochiに登録しているカウンセラーの場合、認知行動療法を用いてカウンセリングを行うことができます。
思考や行動パターンが彼らの感情や行動にどのような影響を与えるかを重視することから、「認知」に焦点を当てた療法です。自分の感情や行動に対する認識を改善することによって、自己の行動パターンを変え、改善することを目的としています。
この療法は、ストレス、不安、うつ病、恐怖症、その他の多様な悩みに対して効果があるとされています。
まとめ
- カウンセリングとコーチングについてまずは正しく理解しよう!
- カウンセリングとコーチングの違いは?
- カウンセリングを受けるメリットとデメリット
- コーチングを受けるメリットとデメリット
- カウンセリングを受けるべきなのはこんな人
- コーチングを受けるべきなのはこんな人
- カウンセリングとコーチングどちらを活用するか悩む方へ
カウンセリングとコーチングはその違いや意味を明確に知っておかなければ自分にマッチしたものを受けられません。
この意味を知らずに受けた結果、自分には合っていなかった、お金の無駄になったとカウンセリングやコーチングをマイナスのイメージとしてとらえてしまうかもしれません。
まずは意味を正しく知り、そのうえで自分に合った方を受けてみてはいかがでしょうか。
カウンセリングとコーチングは併用もできるのでそもそも、カウンセリングを受けるべきかどうかあるいはコーチングを受けるべきかと悩まれる際にはその悩みをカウンセリングで相談してみても、自分が納得できる明確な答えが出てくるかもしれません。