「そんなに気にすることじゃないよ」
「考えすぎだよ、それ」
「ちょっと繊細すぎない?」
一見すると何気ない言葉でも、HSP(Highly Sensitive Person)の人にとっては、深く心に刺さってしまうことがあります。
感受性が強く、周囲の言葉や雰囲気に敏感に反応しやすいHSPの人にとっては、「たった一言」でその日の気分が大きく揺らぐこともあります。
この記事では、HSPの人が特に傷つきやすいと感じる言葉やフレーズを紹介しながら、なぜそれがつらく感じられるのか、その背景を解説していきます。
HSPとは?簡単におさらい
HSP(Highly Sensitive Person)は、生まれ持った気質のひとつで、外部からの刺激や他人の感情にとても敏感に反応しやすい特徴を持ちます。
そのため、他人にとっては「ただのひとこと」であっても、HSPの人にとっては深く心に残ったり、自分を責めるきっかけになったりすることがあります。
HSPの人が嫌がる・傷つくことの多い言葉とその理由
気にしすぎじゃない?
この言葉は、HSPの人がもっとも頻繁に言われ、そして深く傷つく言葉のひとつです。
本人は「気にしたくて気にしているわけではない」と分かっているからこそ、「気にしすぎ」と言われることで、自分の感受性が否定されたように感じてしまいます。
考えすぎ
HSPの人は、物事を深く考える傾向があります。
これは“慎重で誠実な気質”とも言えますが、否定的な文脈で「考えすぎ」と言われると、「もっと浅く考えろ」と言われているようで、自己否定につながってしまいます。
そんなの気にする人いないよ
この一言は、「あなたの感じ方はおかしい」「普通じゃない」と暗に伝えるようなニュアンスが含まれるため、非常に傷つきやすいフレーズです。
HSPの人は「周囲と違う」ことに敏感なので、「共感されなかった」という感覚が強く残ります。
泣きすぎ、めんどくさい性格だね
感情表現が豊かなHSPの人にとって、涙や反応は自然なことです。
しかし、それを「めんどくさい」と表現されると、自分の存在そのものが否定されたように感じてしまいます。
もっと強くなりなよ、そんなことで落ち込んでどうするの
これは“励まし”のつもりで言われることもありますが、HSPの人にとっては「今のあなたではダメだ」と言われているように聞こえることがあります。
「強くなれない自分」を責めるきっかけにもなってしまい、逆に落ち込ませてしまうこともあります。
ちゃんとしてよ
この言葉は、曖昧で漠然としたプレッシャーを与える表現です。HSPの人はすでに自分なりに気を遣っているため、「自分はちゃんとしていないんだ」と強く責められているように感じてしまいます。
空気読んで
HSPの人はむしろ「空気を読みすぎる」ほど敏感です。だからこそ、この言葉は「あなたの感じ方はズレている」と言われたように受け取られ、強い自己否定感につながります。
そんなに真剣にならなくてもいいのに
真剣に物事に向き合っているからこそ言われるこの言葉は、HSPの人にとって「熱意が空回りしている」と取られたように感じられ、傷つくことがあります。
気にしなくていいから
相手がよかれと思って言っていても、HSPの人にとっては「自分の気持ちは理解されていない」と感じる言葉です。気にすることをコントロールできないからこそ苦しんでいるため、突き放されたように受け取られます。
いちいち細かいね
細やかさや気づきやすさはHSPの長所でもありますが、それを「細かい」と言われると「面倒くさい人」と否定されたような気持ちになり、存在そのものを否定されたように感じてしまいます。
なぜ“何気ないひと言”がHSPにとってつらいのか?
HSPの人は、他人の感情や雰囲気に敏感であるだけでなく、自分に向けられた言葉の“裏”を読み取りすぎてしまう傾向があります。
以下のように、相手の言葉の裏側や真意を何度も考えてしまい、心をすり減らしてしまうのです。
- 本当は怒っているのかもしれない
- 嫌われたのかもしれない
- 私のせいだったのかな
また、子どもの頃に「泣くな」「感情を出すな」と叱られ続けた経験がある人ほど、他人からの言葉に対して敏感になっていることも少なくありません。
HSPの人との関わりで大切にしたいこと
HSPの人と接するときに意識したいのは、「相手の感じ方は、その人にとって“本物”である」という前提に立つことです。
反応が大きく見えても、それは“反応しすぎている”のではなく、“それだけ丁寧に感じ取っている”ということ。
以下のような言葉を意識すると、関係性がぐっとよくなることもあります。
- それ、つらかったね
- ちゃんと感じているんだね
- 自分を責めすぎないで大丈夫だよ
共感や受け止めの言葉は、HSPの人にとって心を落ち着ける大きな支えになります。
おわりに|言葉は「凶器」にも「癒し」にもなる
HSPの人は、誰よりも繊細で、感受性に富んだ存在です。
だからこそ、周囲の言葉が心に残りやすく、良い言葉も悪い言葉も深く響いてしまいます。
「なんでそんなことで落ち込むの?」ではなく、
「そう感じることもあるよね」と認めてもらえるだけで、心は驚くほど軽くなります。
もし、身近にHSPの人がいるなら――
そして自分がHSPかもしれないと感じているなら――
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