最近、「自己肯定感」という言葉を耳にする機会が増えています。
しかし、これが一体どういうものなのかをうまく説明できる人はあまりいないでしょう。
この記事では、自己肯定感とは何なのか、そして、自分の自己肯定感を高める方法などを紹介していきます。
自己肯定感とは?
自己肯定感とは、「自分のいいところもわるいところも含めて、ありのままの自分を肯定し、好意的に受け止められる感覚」のことを指します。
自己肯定感が高い人は、他人からの評価や、他人との比較の結果などとは関係なく、今の自分を肯定して尊重し、また価値を見出すことができます。
まずは、自己肯定感と日本人の関係や、その重要性について紹介していきましょう。
自己肯定感が低いと感じる人の割合
実は、日本人、特に若者は自己肯定感が低い傾向にあります。
内閣府は、2019年に、満13歳から満29歳の男女に対して意識調査を行っており、その中に、「自分自身に満足しているか」を問う設問がありました。その結果、「そう思う」と答えた人は10.4%、「どちらかと言うとそう思う」と答えた人は34.7%で、合計すると45.1%しか自己肯定感が高い人はいませんでした。この結果は、比較対象となった、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデン、韓国のどこの国よりも圧倒的に低い数値でもありました。日本以外のどの国も、この2つの回答を選んだ人の割合は、最低でも70%台より上だったのです。
つまり、残りの54.9%……半数以上の人は自己肯定感が低く、それは他の国と比べるととても多いということなのです。
自己肯定感はなぜ重要なのか?
自己肯定感は、物事にチャレンジする時の原動力になるほか、仕事なども含む日常生活の質や、幸福感にも関わってくるので、軽んじることができません。むしろとても重要な要素です。
自己肯定感が低いと、「自分を否定すること」にも繋がり、精神が追い詰められていくこともあるからです。具体的に言うと、物事にチャレンジすることを恐れたり、人の評価を過度に気にして他人に依存したりと、何事にも消極的で後ろ向きな姿勢になってしまいます。
つまり、自己肯定感は、充実した幸せな人生を送るためには必要になってくるものなのです。
参考:「ありのままの自分を認められる自己肯定感は、生きる力の根幹」
自己肯定感診断!自分の自己肯定感をチェック!
自己肯定感が人間の生活に重要な要素だということはわかっていただけたと思います。
しかし、自分の自己肯定感が高いかどうか、はっきりとはわからない人の方が多いでしょう。そこで、自分の自己肯定感の高さがわかる診断を用意しました。これを参考にしてみてください。
- 何に関しても、人からどう思われているかが気になって、職場や学校に行くのが怖い
- 現状の自分と理想の自分を比較し、その差によく落ち込む
- 物事に失敗した後、自分を責めることが多い
- 人に尽くすのが好きだが、束縛しすぎだと言われることがある
- 自分に誇れるものは、何もないと思う
- 自分は他人と比べて、性格が悪いと思う
- 他人に求めるレベルが高く、思うように動いてくれないと強くイライラする
- 自分がどう思うか、どう感じているかがわからない事が多い
- 特定の出来事に対する不安感が常に有り、不安や怖さが頭から常に離れない
- 恋愛でいつも同じような理由で別れる(仕事をいつも同じような理由で辞める)
参考
自己肯定感チェックリスト12問
自己肯定感チェックリスト【この10問で結果が判明】
診断結果
チェックの数が多いほど、自己肯定感が低いということになります。
- チェックの数が0個:自己肯定感が高い
- チェックの数1個から4個:自己肯定感は普通レベル
- チェックの数が5個から7個:自己肯定感がやや低め
- チェックの数が8個から10個:自己肯定感が低い
チェックの数が0個:自己肯定感が高い
1つもチェックがつかなかった人は、自己肯定感が高く、自分に自信を持って物事に取り組めています。すでに自己肯定感が高い傾向にあるので、特別、自己肯定感を高める行動を取る必要はありません。
今の状態が維持できるよう、物事にポジティブに向き合っていくといいでしょう。
チェックの数1個から4個:自己肯定感は普通レベル
この状態の人は、自己肯定感は高くも低くもないと言えます。しかし、時として自己肯定感が低い時の症状が現れることがあります。幸せそうな友人と自分を比較してしまったり、職場での自分の評価が気になったりと、常に自信を持って行動、、とはいかないようです。
この記事で紹介する「自己肯定感を高める方法」を参考にしてみてください。
チェックの数が5個から7個:自己肯定感がやや低め
チェックが5個から7個の人は、自己肯定感がやや低い傾向にあります。
すぐに「どうせ自分なんて」と悲観的になったり、人の目が気になって行動に移せなくなってしまうことがあるのではないでしょうか。この状態の人は、日常生活の中でストレスを感じていることも多いです。
しかし、ネガティブな考え方を繰り返していると、自己肯定感はさらに低くなってしまうので、自己肯定感を高めるための対策が必要です。
チェックの数が8個から10個:自己肯定感が低い
この結果となった人は、かなり自己肯定感が低い可能性があります。自己否定の気持ちが強かったり、周りの評価に依存していたりと、精神的にはあまりよろしくない状態にあるのではないでしょうか。
また、この状態が数年間続いている場合、何かしらの心の傷を抱えている場合も多くあるので、必要であれば心療内科の受診も視野に入れて対策を練る必要がありそうです。
自己肯定感が低いと感じる人の特徴!低い原因とは?
ここからは、自己肯定感が低いであろう人に見られる特徴を紹介していきます。この特徴に心当たりがある場合は、自己肯定感が低い可能性があります。
特徴①:他人と比較しがち
自己肯定感が低い人は、何かと他人と自分を比べてしまう癖があります。自分自身に価値が見いだせないため、人との比較で優位に立とうとするのです。
目標となる人がいたり、誰かに対抗意識を持つことは、自分を成長させるという意味では悪いことではありませんが、自己肯定感が低い人の場合、それが過剰になる傾向があります。
幸せそうな人や、自分には出来ないことが出来る人への嫉妬や劣等感に苛まれたり、または他人の粗さがしをしてマウントを取ったりして、自分で自分を精神的に追い込んでしまいます。
特徴②:承認欲求が強く、人からの評価を過剰に気にする
自分で自分の事を認められないため、他人からの評価が、自分の価値を決める全てになってしまいます。常に他人の目を気にしていて、いかに他人に評価されるかが行動の基準になってしまいます。
反面、周りからダメ出しをされたり怒られたりすると過剰に反応したりひどく落ち込んだりしてしまいます。常に他人から否定されることに怯えています。
特徴③:メンタルが不安定
自己肯定感が低い人は、とにかくメンタルが不安定です。
物事をネガティブに捉えがちで「自分にできるはずがない」と、何か行動を起こすことにも消極的です。
また、周りで起きた悪いことが全て自分のせいだと思い込むこともあります。
こうして、自分で自分を責めて、否定しては精神的に追い込まれていき、さらにネガティブになるという負のスパイラルが起きてしまっています。
特徴④:過去のトラウマや、コンプレックスを抱えている
いじめや虐待、大きな失敗をして恥を掻いた経験なども、自己肯定感が低くなる原因です。
心に深い傷を負わせた出来事は、何度もフラッシュバックを起こしてしまうので、過去の失敗や自尊心が傷ついた経験が何度も思い出され、そのたびに自信を失っていきます。
また、自分より優秀な兄弟など、自分のすぐ近くにいる人と比較され続けた人も、「自分は能力が低い」と思い込みやすいので、自己肯定感が低い傾向があります。
特徴⑤:自己決定が苦手
自己肯定感が低い人は、主体性に欠ける傾向があります。自分の考えや能力に自信が持てないため、自分で物事を決断するのが苦手で、判断を他人に委ねてしまいがちです。もちろん、自分の下した決断に責任を持つことにも苦手意識を感じています。
そして、自分で決断しないため「自分で決断したことが成功した」という成功体験が少なくなり、さらに自己肯定感が低くなるという悪循環を引き起こす原因になります。
自己肯定感が低い原因
自己肯定感が低くなる原因は色々あるのですが、先ほども紹介したように、過去のトラウマやコンプレックスが代表例として挙げられます。例えば、家庭で叱られてばかりいたとか、身近な人と比較ばかりされていたとか、そういうことの積み重ねが、「自分はダメな人間だ」と刷り込んでしまうのです。
また、個性よりは決められたルールや協調性を重んじ、枠からはみ出た行動をする者を攻撃する日本の学校教育や、「謙虚が美徳、自信ありげな態度は悪」だと言う考え方が根付く日本の国民性は、自己肯定感が育つのを妨げていると言われています。
自己肯定感が高いと感じる人の特徴
ここからは、先ほどの項とは反対に、自己肯定感が高いと思われる人の特徴を紹介します。自己肯定感が低いと感じている人は、これらの考え方を目指していきましょう。
特徴①:主体性があり、他人に依存しない
自分の考えに自信を持てるので、決断を他人任せにせず、自分の事は自分で決められます。また、決断した結果もポジティブに受け止められるので人のせいにしません。
自分自身の考えを判断基準にできるため、他人の目や評価に振り回されることはありませんが、基本的に物事の捉え方がポジティブなことから、他人の良さに目を向けることもでき、その意見や考えも尊重できるのです。
特徴②:ポジティブで、メンタルが安定している
自己肯定感が高い人は、物事を前向きに捉えることが出来るため、マイナスの感情に飲み込まれたり、自分を必要以上に追い込んだりはしません。
その結果、メンタルが安定し、高い自己肯定感を維持できるのです。
自分なりの価値観や判断基準をしっかり持っているため、感情をコントロールすることにも長けていて、感情任せの行動も少ない傾向にあります。
特徴③:自分に自信がある
今の自分に満足し、自分の長所もしっかりと自覚しているので、いつでも堂々とした態度を取れます。他人と自分を比較して落ち込んだりもしないので、穏やかな態度で人と接することができます。
もちろん、マウントを取ることもないので、良好な人間関係を築きやすくなります。
特徴④:失敗を恐れずに、物事に挑戦できる
自己肯定感の高い人は楽観的な考えの持ち主で、「失敗したらどうしよう」より「まあ何とかなるだろう」と考えられるので、失敗を恐れずに物事にチャレンジできます。
そして、例え失敗したとしても、それを前向きに捉えて、自分の成長の糧として受け入れられます。失敗も成功も自分の責任だと考えられるため、周りを気にせず、自分のやりたいという気持ちに忠実に動けるのです。
特徴⑤:自分のために生きられるから、人生が楽しい
自己肯定感の高い人は、他人に振り回されず、自分が納得いく行動を取ることができます。自分の気持ちに正直な生き方をしているため、必然的に人生を楽しむことができるようになるのです。
自己肯定感が高い原因
自己肯定感の高さは先天的なもので決まるわけでなく、自分を取り巻く環境によって決まっていきます。自己肯定感を下げる理由とは逆に、成功体験を積み重ねたり、褒められたことが多かったりする人は、自己肯定感が高くなるのです。
自己肯定感を高める方法とは?5つの方法
方法①:現状や不安なことを書き出し、今の自分を認める
自己肯定感が高い人は「今の自分」をありのまま認めることができるので、その考え方を目指しましょう。
まずは自分の状況や不安に思っていること、または自分がどのような点でダメだと思っているかなどを書き出し、一度自分を客観視します。自分の不安を見つめ直すことは、自分を認めたり、思い込みを払拭するきっかけになることがあります。
方法②:「すみません」ではなく「ありがとう」と言う
何か親切を受けた時に、つい「すみません」と言ってしまいがちですが、これを「ありがとう」に変えると、ポジティブな感情を維持しやすくなります。
なぜなら「すみません」は謝罪というマイナスな意味あいを持ち、「ありがとう」は感謝というポジティブな意味あいを持つからです。こういう小さなことでも、自分のメンタルの状態を変えるきっかけになります。
方法③:小さな成功体験から積み重ねていく
自分に自信をつけるなら、できるだけ小さな目標を立てて、それを達成するところから始めましょう。
「毎日10分だけ資格の勉強をする」とか「毎日10回の腹筋運動をする」とか、そういう些細な目標で構いません。何かひとつでも成功すればそれは自信につながり、また新しいことに挑戦しやすい心理状態を作ります。
方法④:新しいことに挑戦してみる
仕事でも趣味でも構わないので何か新しいことを始めるのも効果的です。
慣れたことばかりを繰り返しても、成長には繋がらないからです。ただ、新しいことを始めて知らない世界を知り成長を実感できるとそれは自信に繋がりますが、先ほども言ったように最初の目標はできるだけ小さくするといいでしょう。
方法⑤:完璧でなくてもいいと考えてみる
完璧主義は、時に自分の心を追い込んでしまいます。
「もっと頑張らなくては」ということばかり考えているのは自己否定に繋がります。加えて、自分の足りない部分に目が向きやすくなるからです。物事を完璧にこなすことに対するこだわりを捨てるだけでも、精神的に楽になります。
最後に
いかがだったでしょうか。
自己肯定感は、充実した毎日を送るためには必要なことであり、低いと、自分の心や生活に悪影響を及ぼします。
自己肯定感を高めるのに、この記事が助けになれたのなら幸いです。
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